これまでこのコーナーで何度となく、文科省の官民イノベーションプログラムを巡る問題を指摘してきましたが、その予算を執行する側でもっとも問題の多い東京大学でとんでもない事態が起きていることが判明しました。東大内の問題、即ち大学の自治に官邸が政治介入していたのです。

官邸の意向による東大の不祥事処分

 今日8月1日に東大で研究不正に関する記者会見が行なわれる予定になっています。東大では去年と今年で研究を巡る不正が7つも露見したため、これに合わせ、研究担当とコンプライアンス担当の理事への処分も発表される予定とのことです。これは当然のことのように見えますが、問題は、この処分のきっかけが“官邸の意向”とされていることなのです。

 具体的には、霞ヶ関と元大学関係者からの複数の情報提供によると、総理補佐官の某氏が文科省と厚労省の幹部を呼び出し、東大の不祥事リストを提示した上で、“東大の不祥事は目に余る。官邸の意向として、研究担当とコンプライアンス担当の理事を外に分かるように処分してもらいたい”と命じたようです。この“官邸の意向”が文科省から東大に伝達され、まさに総理補佐官が名指しした2名の理事の処分が決まったようなのです。

 もちろん研究を巡る不正や不祥事は論外です。しかし、本来はそうした事態に対しては、大学の自治の下で自浄作用が発揮され、大学側が自主的に処分すべきです。総理補佐官が大学に対して名指しで処分を求めるというのは、大学の自治に対する官邸の政治介入に当たり、論外と言わざるを得ません。

 そして、更にひどいのは、これも霞ヶ関と元大学関係者からの情報提供によると、官邸の政治介入のきっかけを作ったのは、どうやら他ならぬ東大の幹部のようだということです。