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岸博幸のクリエイティブ国富論

「通信と放送の融合」は死語にして良し

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第7回】 2008年9月19日
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 今週は自民党総裁選の候補の政権公約からクリエイティブ産業の将来を探ろうかと思いましたが、5人の候補の政策が呆れる位つまらないので、前回の続きで「通信と放送の融合」について考えてみたいと思います。

 ちなみに一言だけ。

 今の総裁選を見て分かる人は分かると思いますが、日本の政治は一層堕落し、経済は一層悪くなります。これからは、政治と行政の暴走から身を守る術が必要となります。

「融合」に悪乗りする人

 さて、マスメディアとインターネットの関わりに関しては、「通信と放送の融合」という言葉がよく使われます。“ホリエモン”こと堀江貴文・ライブドア(当時)社長がニッポン放送を買収しようとしたときや楽天がTBSの支配権を握ろうとしたときに、この言葉がその理由に使われました。

 それから数年経った今でもこの言葉をタイトルに使った書籍が出版され、関係者の議論でも使われています。それらを見るにつけ私はいつも憤りを感じています。

 融合という言葉は、2001年のIT戦略本部で、政府の公式文書として初めて登場し、2006年に竹中平蔵総務大臣の下で再度登場して世間を騒がせましたが、実は両方とも私が仕掛けました。

 このように融合という言葉を広めた張本人として自信を持って言いますが、融合という言葉に悪乗りしていい加減なことを言ったりやったりする人が多過ぎます。そういう人たちを批判しても不毛なので、ここでは、融合を考える際に重要な点だけを説明しましょう。

「融合」はもう時代遅れ

 まず強調したいことは、「通信と放送の融合」という概念は政府の規制体系に関して重要なだけであり、民間のビジネスの側でそれを喧伝するのはもう時代遅れだということです。融合の先進国は米国です。その米国の状況をフォローしていると幾つかのことが分かります。

 第一に、米国で「融合」という言葉を使う関係者などいません。放送局がネットを通じて番組を提供することは今や当たり前のことになっています。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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