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小説じつは…経済研究所

じつは、金利はゼロでも高すぎる!?――金融政策の限界

佐々木一寿 [グロービス出版局編集委員]
【第22回】 2014年8月6日
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麹町経済研究所のちょっと気の弱いヒラ研究員「末席(ませき)」が、上司や所長に叱咤激励されながらも、経済の現状や経済学について解き明かしていく連載小説。今回は、金融政策の弱点について問答します。(佐々木一寿)

 「財政政策は、どんなに賢い人がやってもバラマキには違いないし*1、その発注が不公平に繋がるかもしれないし*2、ということで金融政策をチョイスしてみることにしましたが」

*1:ムダに使われる可能性と、将来の税収を現在使ってしまう、という懸念が指摘される。詳しくは第20回を参照
*2:用途に恣意性が生まれる、あるいは汚職に繋がるという懸念が指摘される。詳しくは第20回を参照

 経済学部に進学するケンジは、前回まで学んだことをアタマのなかで整理しながら言う。

 「その金融政策は、みんなに平等におカネを借りやすくする環境を作って、可能性がありそうなチャレンジャーにおカネを借りて使ってもらって、経済を活性化するという目的でやるんだということはわかりましたが、現実的にはちょっとヨワいところもあるということでしたが」

 えらく吸収力があるな、この新しい大学1年生は。ガイド役を務める末席研究員は、好ましく頷きながらケンジのまとめを聞いている。

 ケンジは、まとめの最後に質問をする。

 「で、そのヨワイところってどこなんでしょうか?」

 末席は、疑問を持つ学生というものは、いつの時代でも独特のいいオーラを放つものなんだろうな、と推測しながら答える。

 「そうですね。端的に言えば、基本姿勢として、借り手を待つしかない、ってことですね」

 「たしかに。強制しているわけではない以上、みんなが借りたくないと思っているのなら、それもしょうがないですよね、自由な意志によるのですから」

 自由が好きなケンジは、それもやむなし、と思っているが、どこか歯がゆそうにもしている。

 それを見かねた叔父の嶋野主任研究員がフォローに入る。

 「不景気が続くと、いかに自信家であっても、尻込みしてしまうこともあるからね。たいていはそこそこ下がると、資金需要は湧いて出てくるものなのだが」

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佐々木一寿 [グロービス出版局編集委員]

横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業。大手メディア複合グループの出版部門勤務、報道系編集デスクを経て、グロービス入社。現在は、同社出版局の編集委員として、書籍・教材をはじめとする各種著作の企画・構成・執筆を担当。主に「グロービスMBA」シリーズ、「グロービスの実感するMBA」シリーズ(ともにダイヤモンド社刊)、「グロービスMBA集中講座」シリーズ(PHP研究所刊)の編集・執筆に携わる。


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麹町経済研究所のちょっと気の弱いヒラ研究員「末席(ませき)」が、上司や所長に叱咤激励されながらも、経済の現状や経済学について解き明かしていく。

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