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岸博幸のクリエイティブ国富論

なぜ地方議員は腐敗するのか

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第272回】 2014年8月8日
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 野々村元県議に次いで、同じ兵庫県議会議員で政務活動費の使途を巡ってまた新たな問題が発覚しました。しかしこれらは、氷山の一角に過ぎません。

 もちろん、マジメに政治活動に取り組みカネに関してもクリーンな地方議員は若手を中心に少なからずいますので、地方議員を全否定するつもりはありません。それでも“氷山の一角”だと述べるのは、今の地方議員には、(1)兼職自由で名誉職の色彩が強く、(2)ヒマで、(3)政治活動は程々で良くて、(4)過剰な活動費を与えられて、(5)その使途のチェックも甘い、と5つも問題があるからです。そのような境遇に慣れれば人間誰でも堕落しておかしくありません。

本来のミッションを果たしていない地方議員

 個々に見て行きますと、まず(1)については、地方議員は兼職が自由です。2000年代になって若手議員が増え、それに伴って専業の地方議員も増えていますが、それまでは地方議員は地元の名士や有力者の名誉職という色彩が強く、兼職も当たり前に行なわれていたので、今もその意識は残っています。

 (2)については、もちろん多くの地方議員が忙しいと反論するでしょう。しかし、地方議員の最大のミッションは議会や委員会を通じた政策提言と行政チェックの2つのはずなのに、その肝心の議会や委員会は多くの自治体で年4回、3の倍数の月にしか開催されていません。国会議員が1~6月の通常国会、秋の臨時国会で年間200日以上は議会に拘束されるのに対して、地方議員が議会に拘束される日数は90日以下というところが多いのです。

 それでは、地方議員は何に忙しいのでしょうか。政策提言や行政チェックよりも、住民、特に自らの支持者の要望を行政に伝えるという副次的なミッションの方が忙しいのです。しかし、それをもって忙しいというのは本末転倒です。

  (3)についても、全国市議会議長会のデータを元に2012年度に日本全国の市議会で提案された議案の数を見ると、一自治体あたり、市長提案(行政側の提案)が116件であるのに対して、議員提案は11件しかありません。年4回の定例会が開催されることを考えると、議会の議員の数は少なくとも10名以上いるはずなのに、一回の議会あたりの議員提案は3件に満たないのです。即ち、ミッションの一つである政策提言はまともに行なわれていないと言わざるを得ません。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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