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「幸せ」より「感謝の心」
小利を捨て大利を得るには

井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
【第210回】

 国や宗教は違っても、人類が共通して尊んできたのは「感謝の心」だ。社会的な関係の潤滑油として発達してきたのだろうが、もっと個人的な行動に関係していることが解ってきた。米「サイコロジカル・サイエンス」誌に掲載された感謝の心と自制心についての試験結果から。

 研究者らは、お金にまつわる自制心に関するテストを計画。参加者はテスト前に人生経験を振り返り、今の気分を(1)感謝している(Grateful:感謝群)、(2)幸せ(Happy:幸せ群)、(3)別に何も感じない(Neutral:別に群)の3グループに分けられた。

 さて、お金と自制心のテストは古典的な手法で「今すぐ54ドルを手に入れるか、30日の間に80ドルを手に入れるか」という二択。参加者には、「今は我慢して、金額が上がるのを待つ」という選択の余地が与えられる。このテストの典型的なパターンは「小利をむさぼりて大利を失う」ということわざを地でいくもので、後々の80ドルよりも目先の54ドルを選択する人が圧倒的に多い。

 今回のテストでも「幸せ」群と「別に」群は、ほとんどがこのパターンにハマった。54~55ドルで手を打ったわけである。ところが、「感謝」群は、より忍耐強く目先の小利ではなく、将来の大利を選択するケースが有意に多かった。例えば、今日の60ドルより3カ月先の85ドル、といった具合に。しかも感謝の心が深いほど、目先の利益に飛び付かない自制心と忍耐力が高まっていたのである。

 意外だったのは、ただ単に「幸せ」であるだけでは、目先の利益に誘惑されてしまうこと。どうやら「感謝の心」は報い報われる未来を信じる強い動機になり、衝動を自制して、より賢明な意思決定を支えるようだ。研究者は「この知見は、暴飲暴食や衝動買いなど、あらゆる衝動的な場面に応用できる」としている。適度な自制心を養うには何よりもまず、感謝する心を育むと良いかもしれない。

 ということで、市場の乱高下やトレーダーの熱意に煽られそうになったらまずは数回深呼吸。それから、人生のあらゆる場面に感謝しつつ、意思決定をしましょう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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井手ゆきえ [医学ライター]

医学ライター。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会正会員。証券、IT関連の業界紙編集記者を経て、なぜか医学、生命科学分野に魅せられ、ここを安住の地と定める。ナラティブ(物語)とサイエンスの融合をこころざし、2006年よりフリーランス。一般向けにネット媒体、週刊/月刊誌、そのほか医療者向け媒体にて執筆中。生命体の秩序だった静謐さにくらべ人間は埒もないと嘆息しつつ、ひまさえあれば、医学雑誌と時代小説に読み耽っている。

 

週刊ダイヤモンド編集部


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