ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
業界別 半年先の景気を読む

市場規模はピーク時の6分の1!?
バイク業界にみる縮小市場で生き残る方法

川原慎也 [船井総合研究所 東京経営支援本部]
【第11回】 2010年3月15日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 1982年のピーク時には約320万台が販売されていたオートバイ。しかし、2009年は約38万台にまで市場規模は落ち込んでしまっています。

 このグラフをみると、1984年から2009年の25年間で市場規模は約6分の1になり、市場はジリジリと縮小していることがわかります。

 市場規模が大きく縮小した事例として、他にウイスキー市場などが挙げられます。こうした何らかの要因で市場規模が縮小してしまっている市場を分析することで、これからの日本(少子高齢化と人口減少)において、いかにビジネスを展開していくべきなのかが見えてくることがあります。そこで今回は、オートバイ業界をテーマに取り上げることにしました。

「新たなユーザー」と「ヘビーユーザー」を
増やせなかったメーカー側の誤算

 さて、日本のオートバイ市場は、なぜこのような状況になってしまったのでしょうか。

 まず1984年当時を振り返ってみると、約200万台の内の約160万台が50ccのスクーターであり、ホンダ、ヤマハ、スズキの各メーカーから続々とヒット商品が生まれていました。この50ccスクーターは、その手軽さと安さで主婦層をはじめとしたエントリーユーザーに受け入れられたようです。

 しかしながら、社会問題化していた暴走族問題に端を発した「三ない運動」の強化、多発化する事故対策としてできたヘルメット規制、等の逆風を受けて市場は縮小へ向かいました。

 このような環境下でも、メーカーは当然努力をしてきました。ヘルメットの収納を可能にしたメットインスクーター等はその代表例だと言えるでしょう。ただし、これも視点を変えれば、ユーザーの不便に対応する当たり前の努力に過ぎないという見方もできます。「当たり前の努力こそが大切ではないか」という声が聞こえてきそうですが、ユーザーにとっての不便、不安、不満、等の“不”への対応は、やはり“当たり前”に過ぎないのではないでしょうか。

 メーカーが、本当にやらなければならなかったのは、出来うる限りエントリーユーザーを増やすことであり、その中から少しでも多くのユーザーをヘビーユーザー化していくことだったと思いますし、実際そのように考えられてもいたでしょう。しかし、実際にとられていた戦略が必ずしもそこに合致するものであったのかどうかは疑問の残る部分もあります。

 ひとつは、50ccスクーターの商品開発です。「お手軽」「買いやすい価格」が市場を拡大した原動力だったはずなのですが、投入される新しいモデルは、パワーアップされて重厚感が増すとともに、それにつれて価格もどんどん上がっていきました。

 もうひとつは、排気量の大きいラインナップの商品政策です。こちらは、世の中の流行に対してメーカーが振り回される構図になっていました。例えばレーサーレプリカが流行った時代はそのカテゴリーのMDをかなり充実させるのですが、流行が終焉を向かえるとそのラインナップ自体がなくなってしまうといったことも多々あります。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

川原慎也 [船井総合研究所 東京経営支援本部]


1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられ、組織を動かす原動力へと変えていく。
最新著に『絶対に断れない営業提案』(中経出版)がある。

【関連サイト】『経営参謀の視点』※毎週月曜日更新 

 


業界別 半年先の景気を読む

不透明な経済状況が続き、半年先の景気を読むことさえ難しい日本経済。この連載では、様々な業界やテーマで活躍する船井総研の専門コンサルタントが、業界別に分析し、半年先の景況感を予測していきます。

「業界別 半年先の景気を読む」

⇒バックナンバー一覧