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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

自然に人を呼び寄せる“住民主導”の地域づくり
手作りソーラーで電気も自給する藤野の楽しい生活

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第106回】 2014年8月19日
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住民主導の地域づくりで絆が深まる
人が人を呼びいつしか面白い地域に

 多くの自治体が移住者受け入れ策を積極的に打ち出す時代となった。いずこも人口減少を食い止めるため、転入者を1人でも多く増やそうと必死なのである。いまや各自治体が競うように移住・定住支援策を提示し、まるで移住希望者への「甘い囁き合戦」のような様相さえ呈している。

 だが、こうした自治体の税金を投じての策が成果に結びついているケースは少なく、むしろ苦戦しているというのが実態だ。人の誘致も他と同様に、そう容易なことではないのである。

 そうした中、行政ではなく住民の様々な活動が移住者の誘致につながっている地域がある。連載第91回で紹介した神奈川県の旧・藤野町(現在、神奈川県相模原市緑区の一部。以下、藤野)だ。

 東京と山梨の県境にある藤野は、人口約1万人。都心から電車で約1時間と近く、しかも相模湖を抱えるなど豊かな自然に恵まれる。戦時中に画家や作家などが藤野に疎開し、そのまま住み着くなど、もともと移住者の多い地域だった。

 山間地に集落が点在するという特性もあり、住民による地域活動も活発だった。このため、行政も地域活性化策として「芸術のまち」を掲げ、転入者を積極的に受け入れる方針をとった。今から四半世紀も前のことである。

 新旧の住民による様々なコラボレーションが生まれ育つようになり、藤野はいつしか多彩な人材が集まる地域に成長していった。なにやら面白そうなところだという評判が芸術家や自然志向の人たちの間で広がり、人が人を引き寄せる事態になったのである。

 藤野町は2007年に相模原市と合併して、相模原市緑区となった。こうした行政の動きにかかわらず、住民による地域活動はより活発化し、さらに多様化していった。ユニークな活動を展開するグループが、次々に誕生したのである。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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