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吉田恒のデータが語る為替の法則

GMが破綻しても株価暴落とならず、
クロス円暴落にならないと予測する理由

吉田 恒
【第24回】 2009年4月1日
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 ここ数日でクロス円(※)が急落する場面がありました。前回のレポートで書いたように、基本的には「上がり過ぎ」となっていたことの反動が入ったということでしょう(「10%以上戻した豪ドルなど、「クロス円」は“上がり過ぎ”なのか?」参照)。

 では、またどんどん一本調子で下がっていくかというと、それも違うのではないかと思っていますので、その理由を今回は書いてみたいと思います。

(※編集部注:「クロス円」とは、ドル以外の通貨と円との通貨ペアのこと。ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円、NZドル/円などがクロス円)

 ここ数日で、ユーロ/円は133円から126円へ約5%の反落となりました。また、豪ドル/円も69円から65円へ5%、NZドル/円は57円から53円へ約7%もの急落でした。

 同じ時期にドル/円も98円から95円台へ下落しましたが、こちらの下落率は3%。こんなふうに見ると、ドル/円に比べてクロス円の反落が大きかったことがわかります。

 では、なぜこんな具合にクロス円は大きく急落したのでしょうか?

 きっかけは株価の急落や欧州通貨の急落といったことがあったようですが、基本的には前回のレポートで書いたように、すでにいくつかのクロス円は「上がり過ぎ」の警戒域に入っていたため、その反動が入ったということだと思います。

 私は相場の短期的な行き過ぎについて、90日移動平均線からのかい離率でチェックすることを基本としてきました。この90日線からのかい離率がプラス10%以上に拡大すると経験的には「上がり過ぎ」で、相場が反転しやすいのですが、3月26日現在で、それぞれのかい離率はユーロ/円が9%、豪ドル/円が11%、NZドル/円に至っては13%となっていたのです。

 これは、経験的にこういったクロス円相場が「上がり過ぎ」で、いつ反動が入ってもおかしくない状況にあったことを示しています。こういった状況だったからこそ、たった1~2日で5%以上といった具合に、急落も加速しやすかったということでしょう。

クロス円は今後もどんどん
下がっていくのか?

 相場というのは、上がっているといかにも強そうな気がする一方で、一転下げ始めるとまったく弱気に見えてしまうものです。では反転したクロス円相場は、今度はどんどん下がっていくのでしょうか。経験的にはそれもちょっと違うようです。

 今回のように、ユーロ/円や豪ドル/円、NZドル/円が、90日線を10%以上も上回ったケースは、過去10年間でもそれぞれ3~4回程度しかありません。では、今回と似ている過去のそれらのケースで、再び90日線を割り込むまでどれだけ時間がかかったかを調べたところ、最短でも1~2ヵ月かかっていました。

 ちなみに、3月26日現在のそれぞれの90日線は、ユーロ/円が122円、豪ドル/円が62円、NZドル/円が50円程度となっています。これらの水準を完全に割り込むまで、経験的には1ヵ月以上かかるということになるわけです。

 これは必ずしもクロス円について検証したわけではなく、ドル/円で調べたものですが、そもそも3~4月といった「春相場」は逆に動きやすく、その結果、一方向への大きな動きになりにくい傾向がありそうです。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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