4月の消費税率引き上げ後、財布の中のお金の減りが早くなったと実感している人は少なくないはずだ。8月13日に発表された2014年4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、6.8%の大幅なマイナス(前期比年率、以下同)となった。

消費増税による個人消費の落ち込みは「想定以上」だった。消費者の財布のひもは固くなった
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 事前に悪い予測が出ていたこともあり、発表当日の13日はマーケットに大きな値動きは見られなかった。だが、決して楽観できる内容ではない。前回1997年の消費増税後は3.5%減にとどまっていた。さらに増税前のアナリストの4~6月期のGDP予測は平均で4.3%減だったことを考えれば、その落ち込みは大きい。

「消費の下振れが想定以上に大きかった。それに輸出低迷が追い打ちを掛けた」。第一生命経済研究所の新家義貴・主席エコノミストはそう解説する。実際、4~6月期の個人消費は5%減(1~3月期は2%増)、輸出は0.4%減(1~3月期は6.5%増)となった。

 個人消費の低迷は、駆け込み需要の反動減だけではない。雇用者報酬は名目ベースでは4~6月期は前年同期比1.3%増となったものの、物価上昇分を除いた実質ベースでは2.2%減。それに増税分も加えて、実質的な所得は目減りしている。消費者の財布のひもが固くなり、それが想定以上の消費の落ち込みにつながったとみることもできる。

 実際、街を歩くと、「あくまで実感だが、これまで4個まとめ買いをしていた人が3個にするなど、購入点数が減ってきたようだ」(食品スーパーの店長)などの声が聞こえてくる。