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これからの日本ブランドの30年にむけて

「日本ブランド」は顧客との新しい関係を構築できるか?――オムニチャネル時代のブランド戦略

松尾任人,五十嵐理香,安達浩之,勝呂和央,天野洋介,中村容子
【第6回】 2014年8月22日
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誰もがブランドタッチポイントの役を担うオムニチャネル時代、
ブランドはどう変化するのか

 様々な光景がこの2~3年ですっかり変わってしまった。通勤電車の中、新聞を器用に拡げて読む人々は減り、老若男女皆スマートフォンを手にしている光景は、すでに日常だ。テレビを見ながらソーシャルメディアに書き込みをする10代女性は約7割に及ぶという。スマートフォンなどへの接触時間が、2010年と比較すると約3倍の74分(1日あたり)まで増加した(*)。生活の様々な場面で大きな変化が起きているのだ。

 この変化によって、近年注目を集めている戦略が、あらゆる販売チャネルや流通チャネルを統合する「オムニチャネル」である。オムニチャネル化により、マスメディアでの「認知」→インターネットや雑誌での「理解」 →店舗を訪れて「購入」という一元的な購買行動はすでに過去のものとなった。個人や個店が発信できるソーシャルメディアが、マスメディアに匹敵する情報発信力、影響力を持つことがあり得るからである。

 顧客は、店がリアルかネットかを意識することなく、好きな商品を好きな時間に好きなチャネルで手にすることができるようになる。一方でメーカーは、直接顧客と対話することが可能になる。顧客・メーカー・小売・メディアという垣根も、発信者と受信者という垣根さえ越えて、誰もがいつでもどこでも互いにアプローチができる、誰もがブランドのタッチポイントを担うことができる。これがオムニチャネル時代なのである。

 そんな時代に、「日本ブランド」はどのように考え、行動すべきか。ここで、3つの予見を提示したい。

①オムニチャネル化により、顧客参加の機会が格段に増える
 メーカーは、小売や販社に依存してきた売り場の状況や顧客の評価、フィードバックを、顧客から直接、しかも格段に早いレスポンスで受け取ることが可能になる。また、購買時点のみならず、商品の発売前や、購入後の体験やその評価の段階においても、顧客と直接接触することが可能となる。顧客参加によるブランド育成のタッチポイントが、これまでとは比較にならないほど拡がるのだ。

(*)出典:株式会社博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 「メディア定点調査2014」

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インターブランドは、1974年、ロンドンで設立された世界最大のブランドコンサルティング会社。世界27 カ国、約40 のオフィスを拠点に、グローバルでブランドの価値を創り、高め続ける支援を行っている。インターブランドの「ブランド価値評価」は、ISO により世界で最初にブランドの金銭的価値測定における世界標準として認められ、グローバルのブランドランキングである“Best Global Brands”などのレポートを広く公表している。
 インターブランドジャパンは、ロンドン、ニューヨークに次ぐインターブランド第3の拠点として、1983年、東京に設立された。ブランド戦略構築をリードするコンサルタント、ブランドのネーミング、スローガン、メッセージング、ロゴ・パッケージ・空間・デジタルのデザインを開発するクリエイターが在籍し、さまざまな企業・団体に対して、トータルにブランディングサービスを提供している。著書に「ブランディング7つの原則」(日本経済新聞出版社刊)。


これからの日本ブランドの30年にむけて

 日本経済は世界第3位の規模を誇るものの、「グローバル」における「日本ブランド」のプレゼンスはその経済規模に見合ったものになっているとは言い難い。世界と伍して戦える“強いグローバルブランド”の存在なくして、少子高齢化が加速するこの国の未来はない。
 2020年の夏季五輪大会の東京招致成功は、日本全体が長期的な視点で物事を考え、改革を進める機運をもたらした。私たちはこの機会を逃すことなく、2020年を通過点と捉え、さらにその先を見据えた日本企業のブランドの姿を考えなければならい。
 インターブランドジャパンは設立30年を契機とし、これからの日本の“30年”にむけ、 “強いグローバルブランド”確立のために、「日本ブランド」が今取り組まなければならないことは何か、長期的な視点から、多面的な提言を行う。
 

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