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岸博幸のクリエイティブ国富論

医薬品ネット販売だけじゃない
不動産取引でも進みつつある改革骨抜きの全容

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第273回】 2014年8月22日
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 アベノミクスが外国人投資家からの信頼を失いつつあります。その大きな要因は、成長戦略第2弾の具体策(法人税減税の具体幅、岩盤規制の改革の具体的内容)が不明確なこと、4~6月期の経済に関する指標がかなり悪いにも拘らず対応が遅いこと、です。それに加えて、個別の政策での所管省庁の改革への後ろ向きな姿勢と、それを放置する官邸に対しても、外国人投資家の不信感は募っていることを忘れてはいけません。

不動産取引で起きつつある
医薬品ネット販売解禁の二の舞

 その典型例は、昨年騒ぎになった一般医薬品のネット販売の解禁です。厚労省や官邸は「解禁した!」と言っていますが、一部例外品目が残り処方薬は全面禁止になるなど決して「解禁」とは言えません。かつ、一部の品目で禁止が続く理由は、“ネットを利用すると危険だから”とされていますが、少し掘り下げれば全く論拠薄弱と言わざるを得ません。

 今や企業の役員会や大学の教授会はもちろん、国や自治体の会議でもネット経由の参加(テレビ電話)は当たり前に行なわれるような時代だというのに、医薬品のネット販売については未だネットの利便性が享受できないのです。

 そして、ほとんど報道されていないのであまり広く知られていませんが、現在進行形で、医薬品と全く同じような議論が不動産取引に関してなされています。それは、宅地建物取引業法に基づく「重要事項説明」です。

 現行制度では、

・契約の中の重要事項について、宅地建物取引主任者が対面で説明すること
・その際、「書面」を交付すること(メールなどでは不可)

 が求められ、インターネットを利用した重要事項説明は認められません。

 不動産取引では現地で物件確認するのだから、対面が必須でも別に構わないじゃないかと思われる人もいるかもしれませんが、そうとも限りません。遠方に転勤する場合や、忙しいビジネスマンが引っ越す場合など、物件候補は現地に見に行くとしても、決めた後の重要事項説明などの手続きは遠隔で済ませたい、といったニーズは少なくないはずです。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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