塩野義製薬が「JT医薬事業&鳥居薬品」を買収へ!久々の“日の丸製薬”同士の再編でも評価が割れた理由塩野義製薬の手代木功社長 (医薬経済社提供)
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 塩野義製薬が5月7日、日本たばこ(JT)の医薬事業とJT傘下の鳥居薬品を約1600億円で買収すると発表した。同日の正午頃、厚生労働省を訪問した塩野義製薬の手代木功社長は、福岡資麿厚労相に面会。手代木社長は「頑張ってくださいという感じだった」と、エールを送られたことを本誌に明かした。

 製薬産業は岸田文雄政権時に「基幹産業」と位置付け、創薬エコシステムの強化に着手したばかり。政府としても、塩野義による国内製薬企業の買収は幸先のよい象徴的な出来事で、好意的に受け止められたようだ。

 製薬業界では外資系ファンドによる買収が話題となっている。今年2月には米投資会社のベイン・キャピタルが、三菱ケミカルグループ傘下の田辺三菱製薬の買収を発表。3月には同じく米投資ファンドのブラックストーンが、シミックグループで医薬品開発業務事業を担う子会社シミックを買収することを明らかにした。住友ファーマに関しても、親会社の住友化学が「ベストパートナー」探しを検討している真っ最中。「次にファンドに買われるのは、どの会社か」という噂が絶えない。

 鳥居もご多分に漏れず、以前から香港のアクティビスト(物言う株主)がJTに対し、鳥居の株式を売却する株主提案をしていた。またJTからの「天下り人事」や、JTと鳥居という「親子上場」も問題視された。一方、医療現場からは「薬屋の親会社がタバコを売っているというのはいかがなものか」と苦言を呈されるのが、訪問時のお決まりの文句となっていた。