株主総会2025#24武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長 Photo:JIJI

国内製薬最大手、武田薬品工業の定時株主総会が25日に開催される。クリストフ・ウェバー社長CEO(最高経営責任者)の取締役再任賛成率は昨年76.22%に急落。大手の議決権行使助言会社が再任に反対したことが大きく、今年も助言会社は再任へ反対を推奨している。問題視されているのが低いROE(自己資本利益率)で、24年3月期は1.98%、25年3月期はさらに低下して1.55%にまで落ち込んだ。特集『株主総会2025』の本稿では、今年の総会の賛成率を大胆に占う。外国人トップはクビにならないのか?(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

武田薬品のトップ再任議案にISSが反対推奨
元三井物産会長が今年「も」反論

「インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ・インク(ISS)が株主の皆様に反対行使を推奨していることについて、強く反対し、本年も当社取締役会を代表して見解を記させていただきます」(武田薬品工業の取締役会議長、元三井物産会長の飯島彰己氏)

 ほぼ外国人が占める経営陣が象徴するように、約10年の間に体制が激変した武田薬品。この間の定時株主総会は、同社OBらによる株主提案と総会当日のヒートアップする質疑応答がすっかり風物詩となっていた。だが近年はなりを潜め、代わって定着してきたのが米議決権行使助言会社ISSとの“バトル″だ。

 ISSは過去5期平均の自己資本利益率(ROE)が5%を下回りかつ改善傾向にない企業について、経営トップである取締役の再任に原則反対している。武田薬品に関しては、ISSは2年連続でクリストフ・ウェバー社長CEO(最高経営責任者)の取締役再任議案に反対するよう推奨。その度に、前出の飯島氏がウェバー氏擁護の論陣を張っている。

 今年の飯島氏は株主に向け、「変革の過程において、戦略的M&A(企業合併・買収)に伴う取得原価の配分といった企業結合会計により、ROEのような特定の財務指標に影響が及ぶ場合があります」「短期的な財務ベース上の利益指標だけではなく、急速に進化する世界の医薬品市場において、将来に向けて武田薬品を真に競争力のある企業へと変革させたウェバー氏の功績を、より包括的にご評価いただきますようお願い申し上げます」などと訴えた。

 24年の株主総会では、ウェバー氏の取締役再任議案の賛成率は、23年から19.47ポイントも下がって76.22%に下落。約6兆円という巨額でアイルランドの製薬会社シャイアーを買収した直後とあって紛糾した19年の定時株主総会時の賛成率(84.30%)をも下回った。なお19年もISSは反対推奨していた。

 ダイヤモンド編集部の計算では、武田薬品のROEは24年3月期1.98%、25年3月期はさらに低下して1.55%だ。この数値を素直に評価すれば、今年の賛成率はいよいよ反対率と拮抗(きっこう)してもおかしくない。しかし社内外の関係者に取材すると、「むしろ今年は賛成率が上がる」との見立てが有力だ。なぜか。