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ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

ブラック組織はバブル期も今も変わらぬ“日本の伝統”
ユニコーンの楽曲から考える労働問題の根本的な誤解

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第8回】 2014年9月3日
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「なぜ俺たちほど働こうとしないのか?」
草食系社員を嘆くバブル入社組の管理職

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。

 そういった「心のダークサイド」というのは、実は、一見ブラックとは思えない、ほんのちょっとした考え方が発端となってしまうことが多い。今回はその実例をお見せしたい。

 筆者と同じ世代の人々は、現在40歳台後半から50代くらいで、そこそこの役職に就いている者もいるし、ニート、フリーターの先駆けになっている者もいる。共通しているのは、就職した時期や新入社員の時期が1980年台後半から90年代初頭という、いわゆる「バブル世代」という点だ。

 先日、そんな同世代の1人で、今はある企業の人事部にいる知り合いと話をした。彼が嘆いていたのは、今の草食系社員の「やる気のなさ」だ。

 「なんで彼らが、俺らほどに働こうとしないのかって言うとさ――」

 彼はこう続ける。

 「もう、話になんないの。だって大事な契約日に担当なのに遅刻してきて、理由が『電車が事故で遅れて』。乗っている途中で起きて、降りられなかったならともかく、駅で知ったんだぜ。タクシーに乗ってでも、来るべきだろう」

 草食系社員に対する愚痴は、さらにエスカレートする。

 「もちろん、全員がそうだってわけじゃないけど、だいたいあの世代は、飲み会は参加しようとしないし、仕事にも野心というか、強い意欲みたいなものはない。そのくせ、『うちの職場はブラックじゃないですか!』なんて言い出すんだよ。なんでなのかねえ」

 そして彼は、自分たちの新入社員時期には、いかに一生懸命働いていたかを語る。そんな彼の話を聞きながら、筆者はあるバンドのヒット曲を思い出していた。ユニコーンだ。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

「ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹」

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