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ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

ブラック企業を辞めて成功する人、失敗する人
「学べない会社員」が陥る堂々巡りの本質的課題

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第2回】 2014年6月11日
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 ネットや週刊誌では「ブラック企業」「社畜」という言葉が日常的に使われ、ビジネスパーソンは様々なストレスを抱えつつも、現状を打破できない閉塞感を感じている。そのような閉塞感は、やがて「勝てない組織」「腐敗した組織」を生み出す。

 筆者は6年前に共著『不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか』(講談社現代新書)にて、職場の人間関係の悪化による機能不全について分析した。だが、事態はそのときよりもさらに悪くなっている。

 この連載では、そうした「勝てない組織」から脱却するために必要な心理学、脳科学の知識を紹介することで、ビジネスパーソンのキャリアアップをサポートすることを目的としている。あなたの組織に「黒い心理学」は根付いていないだろうか。

そもそも「利益」の評価軸が違う?
ブラック職場を辞める人、辞めない人

前回は、銀行の秘書課という「ブラック組織」から見事大手保険会社の人事部に転職して成功したAさんの例と「居残り」を選択したBさんの例を比較し、2人のその後の人生を比較しながら、「なぜ人はブラック企業を辞められないのか」を分析した。

前回紹介したケリー氏とティボー氏が示した社会的交換理論から分析すると、Aさんは秘書課というブラック職場に居残り続けることのデメリットを、正確に分析していた。特に社会的利益を過大視せず、転職した場合の自分の将来像と比較して、転職という決断を下した。

 おさらいしておくと、ケリー氏とティボー氏の理論では、人が自分と現在勤めている組織との関係を見るときには、「4種類の利益」を意識する。

 1つ目は「感情的利益」。職場で感情的なサポートをどれだけもらっているかを指す。ブラックな職場では、サポートどころかいやがらせや叱責によって、社員の感情的利益がマイナスになっているところも多い。

 2つ目は「社会的利益」。その職場にいることで得られる、対外的な印象や社会的地位などだ。「せっかく正社員の立場にあるのだから、辞められ合い」「就職していると親や家族が安心する」という考え方も、これにあてはまる。もしかすると、「○○社の社員だと合コンでモテる」という利益まで含まれるかもしれない。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」 渡部幹

この連載の趣旨は、ビジネスマンのあなたが陥っている「ブラック」な状況から抜け出すための「心」を獲得するために、必要な知識と考え方を紹介することにある。社員を疲弊させる企業が台頭する日本社会では、「勝てない組織」が増えていく。実はその背景には、マクロ面から見た場合の制度的な理由がある一方、日本人の持つ国民性や心理もまた、重要な要因として存在する。そうした深いリサーチが、これまで企業社会の中でなされてきただろうか。本連載では、毎回世間で流行っているモノ、コト、現象、ニュースなどを題材として取り上げ、筆者が研究する「ニューロビジネス」的な思考をベースに、主に心理学や脳科学の視点から、その課題を論じていく。あなたは組織の「黒い心理学」を、解き明かすことができるか。

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