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いまこそ読みたい! ダイヤモンド社100年100冊
【第51回】 2014年9月4日
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坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

クリエイティブな人々が国の競争力を決める!
新しい時代に求められる労働力を分析した良書
『クリエイティブ・クラスの世紀――新時代の国、都市、人材の条件』

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今回ご紹介するのはリチャード・フロリダ著『クリエイティブ・クラスの世紀』です。デジタル化、グローバル化が進んだ現代では、どのような労働力が求められるのでしょうか。

今の時代に求められる労働力
「クリエイティブ・クラス」とは

リチャード・フロリダ著、井口典夫訳『クリエイティブ・クラスの世紀』 2007年4月刊。帯には奥山清行氏のような大御所の方からの推薦文が掲載されています。

 原題は“The Flight of the Creative Class”、2005 年に米国で出版され、07年に邦訳が出版されました。経済学では「土地、資本、労働」を3大生産要素としています。企業は資本と労働力を投入し、生産高(Output)を得ます。ここからそれぞれの生産要素へ分配し、残りが利益となります。しかし、これは工業化時代の考え方であり、労働力の分類と計測法は変わるべきではないか、これがリチャード・フロリダ(1957-)の着眼点です。

 こうした労働の分類については、1910年代から議論されてきました。古くはエミール・レーデラー(1882-1939)の「ホワイトカラー論」(1912)で、需要の側からみた中間層の誕生と成長を論じました。

 一方、供給側からみた労働の分類では、ピーター・ドラッカー(1909-2005)の指摘が重要です。『断絶の時代――来たるべき知識社会の構想』(ダイヤモンド社、1969)でドラッカーは、初めて知識経済(ナレッジ・エコノミー)の到来を予測し、知識を基盤とする経済を支える人びとを知識労働者(ナレッジ・ワーカー)と名付けました。

 リチャード・フロリダは総労働の中を分類し、クリエイティブ・クラスを国別に、そして定量的に抽出しました。クリエイティブ・クラスはドラッカーのナレッジ・ワーカーに近いですが、ドラッカーが60年代末に行なった予測を超え、グローバル化、デジタル化、ネット化が進行し、GDPに占める割合も大きく増加しているそうです。

 工業化時代に必要な労働力と、グローバル化、ネット化が進んだ2000年以降では必要とされる労働力がまるで違うというわけです。

 フロリダが定義したクリエイティブ・クラスとはどのようなものでしょう。

使っているデータは、世界中の労働統計を管理する国際労働機関(ILO)によるものだが、そこでは労働力を科学者、エンジニア、芸術家、音楽家、建築家、経営者、専門家などの職業別カテゴリーに分類し、かなり詳細な関連データを収集している。(略)ただし、「技能者」という分類の取り扱いが、国によってさまざまであることには注意が必要だ。このため、広義と狭義の二種類のクリエイティブ・クラスを測定している。広義のクリエイティブ・クラスは科学者、エンジニア、芸術家、文化創造者、経営者、専門家、技能者を含み、狭義の場合は技能者を含めない。(167-168ページ)

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坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

1954年生まれ。78年早稲田大学政治経済学部卒業後、ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを経て現職。著書に『複雑系の選択』『めちゃくちゃわかるよ!経済学』(ダイヤモンド社)『浦安図書館を支える人びと』(日本図書館協会)など。


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ダイヤモンド社は2013年5月1日に創立100年を迎えることになりました。雑誌を追う形で始まった書籍事業も、ビジネスジャンルを中心に刊行点数は1万点を優に超えています。

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本連載は100周年を記念し、普遍の名著と呼ばれる作品から、今だからこそ読みたい隠れた名作まで、有名無名織りまぜた100冊を紹介していきます。ダイヤモンド社が誇るベテラン執筆陣の、単なる書評にとどまらない論説をご期待ください!

 

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