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どう中国と付き合うか 日中首脳会談は実現するのか、両国は何を話すべきなのか

習近平は“党の命運”を安倍晋三に託すか?
APECを前にした最新日中関係論考【前編】
――国際コラムニスト・加藤嘉一

加藤嘉一
【第2回】 2014年9月10日
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11月にAPECが開かれる雁西湖 Photo by Yoshikazu Kato

澄んだ空気に青い空
APECの舞台、雁西湖

かとう・よしかず
1984年静岡県生まれ。日本語、中国語、英語で執筆・発信する国際コラムニスト。2003年高校卒業後単身で北京大学留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。学業の傍ら、中国メディアでコラムニスト・コメンテーターとして活躍。中国語による単著・共著・訳著は10冊以上。日本では『われ日本海の橋とならん』(ダイヤモンド社)、『いま中国人は何を考えているのか』(日経プレミアシリーズ)、『脱・中国論—日本人が中国と上手く付き合うための56のテーゼ』(日経BP社)などを出版。2010年、中国の発展に貢献した人物に贈られる「時代騎士賞」を受賞。中国版ツイッター(新浪微博)のフォロワー数は150万以上。2012年2月、9年間過ごした北京を離れ上海復旦大学新聞学院にて講座学者として半年間教鞭をとり、その後渡米、ハーバード大学ケネディースクールフェロー、同大アジアセンターフェローを歴任。2014年夏からは米ジョンスホプキンス大学高等国際関係大学院の客員研究員として、ワシントンDCを拠点に“日米同盟と中国の台頭”をテーマにした研究・発信に挑む。米ニューヨーク・タイムズ中国語版コラムニスト。世界経済フォーラムGlobal Shapers Community(GSC)メンバー。趣味はマラソン。座右の銘は「流した汗は嘘をつかない」。
Photo by Kazutoshi Sumitomo

 7月中旬、北京市懐柔県雁西湖という場所を訪れた。

 北京市街から車で1時間ほど行ったところに雁西湖はある。到着すると、スモッグが消えてなくなっていることに気づいた。青い空と白い雲。湖の水面上には波がほとんど立っておらず、その場の静けさを一層際立てていた。空気は澄んでいる。

 湖の畔には別荘が立ち並んでいた。私に付き添ってくれた現地の関係者によれば、現役を引退した国家指導者たちの療養地になっているという。

 湖の反対側にやってくると、辺りは喧騒に包まれていた。道の両脇には人工的に植えられた樹木が聳え立っている。道路や建物、そしてゴルフ場などが建設中だった。どう表現していいか分からない形をした『日出東方酒店』(Sunrise Oriental Hotel―筆者訳)は、私に北京五輪開催直前における突貫工事の現場を思い出させた。

 11月、ここ雁西湖でアジア太平洋経済協力会議(APEC会議)が開催される。会場の入り口には公安の車が数台停まっていた。厳重なセキュリティーが敷かれている。

 「会議まであと3ヵ月。国家の威信がかかった国際会議だ。万全の準備をしなければならない」。懐柔県の政府関係者は私にこう語った。APEC会場整備のために不可欠だった現地住民の住居立退き作業はほぼ完了したという。政府のカネで家が新しくなったり、外装がきれいになったりした住民たちは単純に喜んでいた。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


どう中国と付き合うか 日中首脳会談は実現するのか、両国は何を話すべきなのか

今年で3回目となる日中関係を考える連載「どう中国と付き合うか」。今年は11月に中国北京でAPECが開催されることから、この機会を利用した日中首脳会談が開催されるかどうかは、早い時期から日中関係ウォッチャーの間で話題となっていた。しかし、両国の閣僚や政府筋の発言を見ていても、明確な関係修復の兆しは見られない。識者には「APECで日中首脳会談が開かれなければ、両国関係は本当にマズいことになる」という危機感が募る。果たして11月、安倍晋三首相と習近平国家主席は会談の席につくのか。席につかせるためには、両国はどのような努力をすべきなのか。日中の歴史、外交、防衛などの専門家に寄稿、インタビューから、その答えを探る。

「どう中国と付き合うか 日中首脳会談は実現するのか、両国は何を話すべきなのか」

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