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日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

【目を覚ませ、日本の鉄道業界(上)】
ビッグ3はおろか、なぜ中国にまでやられるのか?
ガラパゴス化で封じ込められた「世界頂点の実力」

松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]
【第15回】 2014年9月10日
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JR東日本の野望は「グーグル化」?
鉄道業界でも始まりそうな地殻変動

 「グーグルが○△自動車を買収!」

連載第14回でも触れた通り、もしこんな記事が新聞に出たら、自動車業界の勢力図は一変するだろう。

 実は、鉄道業界ではすでに3年前にこうした地殻変動が起きている。2011年、JR東日本は東急車両の車両製造部門を買収している。もともとJR東日本は、新津車両製作所という通勤用ステンレス車両の製造部門を傘下に持っていたが、これに加えて中堅の車両製造会社を買収して、車両製造を新しい柱に育てると宣言したのだ。

 この連載で度々触れてきたが、現在世界には「製造業のサービス業化」と「サービス業(IT企業も含む)の製造業化」という、2つの潮流がある。製造業のサービス業化の代表例はアップルであり、サービス業の製造業化の代表例はグーグルだ。

 JR東日本の試みは、「サービス業の製造業化」の流れにあたる。言い換えれば、「JR東日本のグーグル化」だ。これまで車両を購入していた鉄道運営会社が、自ら車両製造を積極化する意味はなんであろうか。世の中はむしろスリム化し、分業化していく傾向が強いにもかかわらず、だ。

 筆者はJR東日本に、鉄道機器の開発・製造から、敷設、運営、保守といった、鉄道に関する全ての事業を自社で担いながら、そのノウハウをフルパッケージで輸出する世界ナンバー1の鉄道総合カンパニーになろうという野心を感じる。まさに「市場創出型企業」への変身である。

 JR東日本は、車両というハードの開発・製造力を高め、従来の鉄道運行というサービスと一体化することで、自社でしかつくれない車両や鉄道サービスを提供していこうとしているように思えるのだ。

 筆者は、日本の鉄道業界は世界の頂点に立てると考えている。しかし現実的には、日本が海外で並み居る強豪たちと互角に戦い、勝ち残っていくためには、様々な壁を越えなくてはいけないのが現状だ。これから3回にわたり、2020年に市場規模が22兆円に達する言われる日本の鉄道業界に焦点をあて、製造業が抱える課題と成長の可能性を模索したいと思う。

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松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]

株式会社O2(オーツー)株式会社XrossVate(クロスベイト)株式会社安田製作所代表取締役。1970年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。大手化学メーカー、外資系ITベンダーのディレクター、コンサルティングファームのディレクターなどを経て、2004年株式会社O2を設立、代表取締役就任。2013年に新会社XrossVateを設立。2014年に射出成型用金型メーカ株式会社安田製作所に出資を行い経営参画。


日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

日本の製造業は危機に瀕していると言われて久しい。様々な業界関係者が口にする「日本企業は技術で勝っても事業で負けている」という言い訳は、本当に正しいのか。実は、日本のゲンバにはもっと根深い本質的な課題がありそうだ。日本企業の5重苦、7重苦の原因は、日本の技術力の低下そのものにあり、その原因は大きく「技術伝承」の放置と悪い意味での「部分最適思考」の2つにある。製造業を中心に大手企業のコンサルティング業務を手がけ、企業のゲンバと深い付き合いを続けてきた株式会社O2(オーツ―)の松本晋一代表取締役が、“超高速すり合わせ型”モノづくりの極意を説く。

「日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ」

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