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ビジネスマンのための中国経済事情の読み方

独立独歩の中国とアメリカありきの日本

高田勝巳 [アクアビジネスコンサルティング代表取締役]
【第2回】 2007年11月8日
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 中国で生活していて、日本における中国関連の報道、日本社会の反応を見ていて違和感を感じることが多々あります。比較的最近の例をいえば2年前の上海での反日デモがありますし、直近では食品安全の問題があると思います。

マスコミに踊らされ、
過剰に反応する日本人たち

 上海のデモの時は、日本では特にデモの激しいところだけがテレビで繰り返し、繰り返し流されていたそうですが、その時、私は、デモ隊が通った延安路に平行している南京路で(デモが行われている最中に)、何事もなく上海伊勢丹とその周辺で買い物をしていました。日本のマスコミは、時にヤラセ問題が発覚するように、とにかく、視聴率が取れるセンセーショナルな場面を流すことに専念し、社会の媒体としての使命を忘れがちなのでしょう。

 当時、私は、自分なりに情報を分析した結果、あのデモは、一部の扇動(扇動した側にはいろいろな思惑があったかもしれませんが。)されやすい若者が熱くなって憂さ晴らしをしているだけのことで、そのデモの最先端で「はい日本人です。」といってフラフラしない限り日本人に危険が及ぶとはまったく考えておりませんでした。日本人にけが人でもでれば逆にあっという間に警察に鎮圧されたでしょう。私にすれば、それは、現在のニューヨークのハーレムで日本人が夜遅くに一人でフラフラしないのとなんら変わりないことです。

 しかしながらその当時の日本社会の対応といえば、相当情報をもっているはずの日本の大企業(私が知る限り中小企業の方は普通通り中国に出張していました)でさえも、マスコミのそうした論調に流され、中国への渡航を禁止し、出張を取りやめる例が多発しました(私は、顧客からの相談に対し、別に出張を取りやめるほどのことでないと説明しました)。

 最近はやりの危機管理コンサルタントが渡航禁止を勧告したのかもしれませんが、私からすれば、たいしたことのない今回のデモでさえ過剰反応して渡航禁止をするということは、正確な情報分析が出来ていないのではないかと思いました。正確な情報分析ができないということは、逆に本当に危険が迫ったときにも、反対に危険を察知できず、従業員を危険な目に合わせてしまう可能性もあるのではないでしょうか。戦前の日本政府が思考の停止状態に陥り、組織として正確な情勢分析ができず、国民を悲惨な目に合わせたように。

 なお、余談ですが、あの時一番情けないと思ったのは、デモ隊の襲撃を心配して看板に垂れ幕を張って日本企業ということを隠そうとした銀行があったことです。別になにも悪いことはしていないのに、なぜ自分の顔を隠すようにするのでしょうか。警察に連行されフラッシュを焚かれ顔を隠す犯人でもあるまいし。それに垂れ幕をしたら余計目立って危ないのではないでしょうか。それとも、可愛そうな顔をして同情を買おうとも言うのでしょうか。

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高田勝巳 [アクアビジネスコンサルティング代表取締役]

上海在住15年。日系企業の中国ビジネス構築を支援しながら、中国経済の動向を「現地の視点・鋭い分析・分かりやすい言葉」をモットーにメディア等を通して日本に発信している。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)本部証券部門、上海支店等を経て2002年より現職。主な著書に『中国株式市場の真実』(共著・ダイヤモンド社刊)がある。
アクアビジネスコンサルティング ホームページ


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長年中国に住み、現地企業や政府と接してきた著者が贈る中国リポート。ニュースではわからない、現地で暮らしているからこそ見えてくる“リアルな中国”を紹介する。

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