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金融危機でも“焦り”は禁物!
投資商品の「価格変動性」を見極めよ

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第51回】 2008年10月28日
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 足許で、「100年に1度」と称される金融市場の混乱が続いている。それに伴い、株式市場は世界的に下落傾向を辿っており、一方為替市場でも円が急速に上昇している。

 株式関連や、外貨建て金融商品を保有している投資家は、多かれ少なかれ損失を余儀なくされていると見られる。

 最近、「気が付かないうちに、毎月分配型の外貨建て投資信託の価格が大きく下がってしまって困っている」という相談を受けることがある。元々、ドルやユーロ、オーストラリアドルなどの為替レートは変動が大きく、専門家の間では、「為替はリスクの高い金融商品の1つ」といわれる。

 ところが、個人投資家が外貨建ての金融商品を購入する場合、必ずしも為替に潜むリスクをはっきり認識していないケースもあったようだ。「毎月、着実にお金が入ってくるので便利」という程度の理解しかなかったのかもしれない。

 それが、今回の金融市場の混乱で、円の対ドルやユーロ、オーストラリアドルなどのレートが大きく上昇し、当該通貨建ての債券を保有していた投信の価格は、かなり下落している可能性がある。為替に潜んでいたリスクが、牙をむいて投資家に襲いかかったという構図だ。

 投資家として、実際の投資行動を行なうとき、真っ先に考えるべきことは「リスク」である。為替リスクに対する認識が不足しているのは、いかんせん、危険な投資行動というべきだろう。

 ここで、リスクの正体をしっかり理解すると同時に、金融市場が現在のような相場状況下で、どのようにリスクに対処すべきかを考える。

リスクの正体とは“価格変動性”
と見つけたり!

 一般的に、リスクの概念を一言で表すとすれば、「価格がどれほど大きく振れるか=価格変動性」と言うことができる。つまり、価格が大きく振れ易く、価格変動性の高い金融商品のリスクは高いと覚えておくと良いだろう。逆に、価格変動性の低い商品のリスクは低いのである。

 たとえば、価格が100円で動かない金融商品は、どう頑張っても儲けることはできない。その代わりに損をすることもない。それだけリスクが小さいということだ。その場合、投資の対価として得られる「収益=リターン」も小さくなることが一般的だ。その結果、「ローリスク・ローリターン」という関係が成り立つ。

 一方、価格が100円から200円まで大きく振れるような金融商品は、100円で買い、200円で売れば100円の利益を手にすることができる。逆に、200円で買い、100円で損切りをすることになると、100円の損失を蒙ることになる。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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