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どう中国と付き合うか 日中首脳会談は実現するのか、両国は何を話すべきなのか

安倍「価値観外交」に中国はどう反応したか
“外交戦”分析で行き着く「民の力」の重要性
――日中関係研究所研究員・吉田陽介

吉田陽介[日中関係研究所研究員]
【第4回】 2014年9月24日
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 筆者が中国人と交流するとき、必ず話題にのぼるのが日中関係。その中でも安倍政権は何を考えているのか、対中関係をどう考えているのかということをよく聞かれる。

 思い起こせば、2006年10月、第一次安倍内閣成立間もない頃、安倍首相は「氷を割る旅」と称される中国、韓国訪問を果たしたため、中国では好意的に受け入れられ、一般レベルの中国人は安倍首相に対しては好印象を抱いていた。

 しかし、その評価は第二次内閣において一変する。2010年9月の尖閣諸島漁船衝突事故をきっかけに、日本国内の世論は反中に傾き、中国国内の世論も反日に傾いた。12年、安倍首相の再登板が決定的となったとき、筆者は日中関係を研究している中国人の友人に、安倍内閣はどこへ向かうかについて意見を聞いてみた。彼は「前回の政権成立時と現在の日本国内の状況は違い、右傾化傾向にあるので、安倍氏は対中強硬路線をとる可能性がある。楽観はできない」とみていた。

 それに対し、「安倍氏は確かに強硬路線をとるかもしれないが、その一方で柔軟な政策を取れる政治家だ」と、安倍首相が現実的な政策をとる可能性を指摘する専門家もいた。実際は、前出の研究者の見立てどおり、2012年9月の尖閣諸島の「国有化」をきっかけに悪化した日中関係は改善することはなかった。

よしだ・ようすけ
1976年生まれ。99年3月福井県立大学経済学部経済学科卒業。2001年3月まで同大学大学院経済経営学研究科国際経済経営専攻。主に中国経済を研究。同年9月中国人民大学に留学。一年の語学研修を経て、同校国際関係学院課程(科学社会主義と国際共産主義運動専攻)に進学。06年7月卒業。卒業後は日本語教師を経て、10年より日中関係研究所研究員として日中関係、中国政治の研究に従事。 Photo:DOL

安倍政権は歴史と領土で
中国の「底線」を超えた

 日中関係には解決すべき構造的問題が存在する。ひとつは歴史問題であり、ふたつは領土問題、三つは台湾問題である。2012年に第二次安倍内閣が成立してからは、前者のふたつが強調され、現在は特に第一の問題が強調されている。

 二つ目の領土問題は、民主党政権時代からクローズアップされており、「日中両国間には領土問題が存在しない」という従来の態度を受け継いで、中国の主張する「棚上げ論」を認めずに、その考えを押し通したことにより、中国側の態度が硬化した。

 第二次安倍内閣発足直後に安倍首相が靖国参拝を行ったことにより、第一の問題である歴史問題が日中関係の最大の対立点というべき問題となり、中国は安倍首相を岸信介元首相同様に「右翼分子」と称し、メディアを使って日本が過去の歴史を反省しないことを批判した。

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今年で3回目となる日中関係を考える連載「どう中国と付き合うか」。今年は11月に中国北京でAPECが開催されることから、この機会を利用した日中首脳会談が開催されるかどうかは、早い時期から日中関係ウォッチャーの間で話題となっていた。しかし、両国の閣僚や政府筋の発言を見ていても、明確な関係修復の兆しは見られない。識者には「APECで日中首脳会談が開かれなければ、両国関係は本当にマズいことになる」という危機感が募る。果たして11月、安倍晋三首相と習近平国家主席は会談の席につくのか。席につかせるためには、両国はどのような努力をすべきなのか。日中の歴史、外交、防衛などの専門家に寄稿、インタビューから、その答えを探る。

「どう中国と付き合うか 日中首脳会談は実現するのか、両国は何を話すべきなのか」

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