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野口悠紀雄 2040年「超高齢化日本」への提言

深刻な積立金不足に悩む企業年金

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第15回】 2014年9月25日
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 本来、企業年金は私的な制度であるが、公的年金と並んで、老後の生活保障に重要な役割を果たしている。とくに、公的年金給付の一部を代行することが認められているため、制度的にも密接に関連している。以下では、現在の企業年金がいかなる問題を抱えるかを分析する。

企業年金の仕組み

 企業年金の仕組みはやや複雑である。そこでまず実体がどうなっているかの概観から始めよう。

 日本の退職後生活の手当は、従来は退職一時金の支払いによってなされてきた。それが徐々に年金化されてきた。

 「厚生年金基金」は、1966年に設立された制度で、企業年金の中核をなす。公的な年金制度である厚生年金に上乗せして支給する企業年金制度としてスタートした。

 しかし、運用環境の悪化などから制度が見直され、2001年に確定給付企業年金制度と確定拠出年金制度の創設が決まった。確定給付企業年金は2002年から始まった。2014年9月1日現在で1万4124件ある。

 確定拠出年金は、「401k」とも呼ばれる。それまでの企業年金が給付額を企業などが保証する給付建てであるのに対し、確定拠出年金では、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をもとに給付額が決定される。自分で運用商品を選ぶ。14年6月での加入者数は499万人だ(企業年金連合会の資料による)。

 これらのほかに「税制適格退職年金」があったが、2012年3月末に廃止された。

厚生年金基金の実態

 以下では、厚生年金基金制度を中心に述べる。

 これは、つぎの2つの部分からなる。

(1)国の老齢厚生年金の一部を国に代わって支給する「代行給付」

(2)企業の実情に応じて行なう独自の上乗せ給付(プラスアルファ給付)

 その状況は、次ページの図表1に示すとおりだ。

 厚生年金基金数は、2003年度末の1357から減少を続け、12年度末には560基金となった(図には示していないが、ピーク時には1800以上あった)。基金の加入員数は415万人、事業所数は 10.5万だ。

 年金受給者は267.5万人だ。2012年度における厚生年金の受給者数は3154万人なので、その8.5%ということになる。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 2040年「超高齢化日本」への提言

日本社会は、世界でも稀に見る人口高齢化に直面しており、このため、経済のさまざまな側面で深刻な長期的問題を抱えている。とりわけ深刻なのは社会保障であり、現在の制度が続けば、早晩破綻することが避けられない。この連載では、人口高齢化と日本経済が長期的に直面する問題について検討し、いかなる対策が必要であるかを示すこととしたい。

「野口悠紀雄 2040年「超高齢化日本」への提言」

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