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日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

【目を覚ませ、日本の鉄道業界(下)】
総力を結集して「株式会社 新幹線」を設立せよ!
日本の鉄道が世界一になるために越えるべき壁

松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]
【第17回】 2014年10月8日
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 「日本の新幹線は世界一」そう信じている日本人は多いはずだ。筆者もその1人だ。中国の高速鉄道に乗車した際、日本の新幹線と見間違う姿形にもかかわらず、走り出した時の振動と音にはいささか吃驚した。

 お隣韓国の高速鉄道TKXは、新幹線のライバルTGVをベースにしている。数年前に乗車する機会があった。2等席、いわゆる日本における指定席を利用したが、多少窮屈だったことを覚えている。シートも硬い。日本の特急の方が乗り心地は良いと感じた。

 「やっぱり、日本の新幹線が一番だ」そう思ってしまう。だが、世界市場で勝っているかと言えば、そうでもない。日本の新幹線は世界一ではなく、正確に言えば、「世界一になれる可能性を秘めている」なんだと思う。

 では、日本の新幹線が世界一になれない背景には、どんな課題があるのか。また、それを克服するためには、どんな姿を目指すことが必要となるのだろうか。

 これまで2回にわたってお送りしてきた「目覚めよ、日本の鉄道業界」の最終回は、このことについて議論すべきポイントを1つずつ整理しながら、日本の新幹線が世界のスタンダードになるための「妄想的処方箋」について述べてみたいと思う。

新幹線が世界一になるために
越えるべき壁(1)
「在来線直通ノウハウ構築」

 第一の「越えるべき壁」は、在来線直通ノウハウ構築である。日本の新幹線のライバルはフランスのTGV、ドイツのICE、そして中国の高速鉄道だ。中でもTGVが強敵だ。ベルギー、オランダ、スイス、スペインなどはTGVの仕様を採用、もしくはそれに準じており、実質的にEUはTGVの牙城と言っても過言ではない。また、韓国のKTXもTGVを採用した。モロッコもTGV仕様の高速鉄道を導入予定だ。

 日本の新幹線は台湾が有名だ。しかしながら、連載第16回でもお伝えしたように、台湾新幹線はフランス・ドイツ連合に決まりかけていたところに、ドイツのICEが「エシュデ鉄道事故」を引き起こし、かつ台湾大地震が発生したこともあり、地震に強い日本の新幹線に軍配が上がったという経緯がある。神風が吹かなければ、新幹線が海を渡ることはなかったのかもしれない。

 世界の高速鉄道市場では、TGVが優勢なのだ。

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松本晋一 [株式会社O2/株式会社XrossVate/株式会社安田製作所代表取締役]

株式会社O2(オーツー)株式会社XrossVate(クロスベイト)株式会社安田製作所代表取締役。1970年生まれ。千葉県出身。早稲田大学政治経済学部経済学科卒。大手化学メーカー、外資系ITベンダーのディレクター、コンサルティングファームのディレクターなどを経て、2004年株式会社O2を設立、代表取締役就任。2013年に新会社XrossVateを設立。2014年に射出成型用金型メーカ株式会社安田製作所に出資を行い経営参画。


日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ

日本の製造業は危機に瀕していると言われて久しい。様々な業界関係者が口にする「日本企業は技術で勝っても事業で負けている」という言い訳は、本当に正しいのか。実は、日本のゲンバにはもっと根深い本質的な課題がありそうだ。日本企業の5重苦、7重苦の原因は、日本の技術力の低下そのものにあり、その原因は大きく「技術伝承」の放置と悪い意味での「部分最適思考」の2つにある。製造業を中心に大手企業のコンサルティング業務を手がけ、企業のゲンバと深い付き合いを続けてきた株式会社O2(オーツ―)の松本晋一代表取締役が、“超高速すり合わせ型”モノづくりの極意を説く。

「日の丸製造業を蘇らせる!“超高速すり合わせ型”モノづくりのススメ」

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