経営のためのIT
【第27回】 2014年10月10日
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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

20年に一度のテクノロジー大転換期が来た
だからこそ、企業には長期のIT計画が必要だ

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企業ITを取り巻く
環境の変化

 企業ITを取り巻く環境として、社会・経済およびIT業界などに関する動向も振り返っておこう。政府の打ち出す政策(e-Japan構想[2000年]など)や規制緩和(通信の自由化など)は、IT業界の動向に大きな影響を及ぼす。また、個人情報保護法や日本版SOX法(金融商品取引法[2007年7月施行]と新会社法[2006年5月施行]の一部)といった法制度の施行や改正などが、企業ITに対して対応を求めることもある。

 一方、経済の動向も企業のIT投資に影響を及ぼす。2008年のリーマンショック後には多くの企業がITコストの削減や、IT活用による業務コストの削減に注力したことは記憶に新しい。景気低迷の影響を受けて、新規のITインフラ投資や業務システム再構築といった大規模プロジェクトを先送りしたり、縮小したりした企業も少なくない。

 また、ビジネスの短サイクル化は、IT業界における企業の戦略にも影響を及ぼしている。ERP大手ベンダーであるSAPが1972年にドイツで創業してから、日本法人であるSAPジャパンが設立されるまで20年を要しているのに対して、グーグルが1998年に設立して日本語サービスを開始するのには2年、1999年のセールスフォース・ドットコム創業から日本法人の設立まではわずか1年となっている。

 20年前であれば、情報機器やソフトウェアが米国などで発売されて日本語対応版が出荷されるまでには半年や1年を要することが多かったが、今やiPhoneなどでも見られるように、全世界同時発売は珍しくない。これは、グローバル市場がボーダレス化したことを顕著に表している。

今まさに巻き起こっている
ITの新たな潮流

 今さまに起こっている大きな動きとしては、クラウドやモバイルなどの浸透に代表される技術面での劇的な変化があげられる。1990年代初頭に、従来のホスト/端末型のコンピューティングのあり方がオープン化の波にさらされ、クライアント/サーバー型へと移行し、大きく時代が変わったが、今日のパラダイムシフトはそれに匹敵する、あるいはそれを超える大きな転換と捉えることができる。

 90年代からERPなどの統合型の業務パッケージが台頭した際には、自社またはソフトウェア開発会社に委託して業務システムを構築するか、パッケージを購入するか、すなわち作るか買うか(Make or Buy)の選択を迫られるようになった。

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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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