経営のためのIT
【第27回】 2014年10月10日
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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

20年に一度のテクノロジー大転換期が来た
だからこそ、企業には長期のIT計画が必要だ

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 そして現在は、クラウドサービスの台頭により、作るか買うか、あるいは使うか(Make or Buy or Use)を考えなければならなくなった。何か新しい事業や業務の遂行のために情報システムが必要になった時、その都度サーバを購入して、アプリケーションを開発または導入し、自前で運用するという方法は、もはや当たり前の選択肢ではなくなりつつあることを意味する。

 また、クライアント/サーバや電子メールの普及によって、企業ではパソコンを1人1台配置するようになったが、現在はタブレット端末やスマートフォンの活用が進んでおり、1人が複数のデバイスを持つことが前提となりつつある。以前は、人がコンピュータのある場所に行って操作する時代であったが、今はコンピュータが人の動きについてくる時代となった。

 さらに今後は、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、ウェアラブルコンピュータ(身につけて持ち歩くことができるコンピュータ)、3Dプリンティング、センサーネットワークなど、物理的な事象や活動がデジタル化され、ネットワークを通じてやり取りされるような世界がますます広がっていくことが予想される。このような社会や産業や生活のデジタルイノベーションは、企業の情報システムにも少なからず影響を及ぼすと考えられる。

 したがって、これまでの延長線上の考え方で、企業の情報システムを企画・検討することが困難となっているのである。

大転換の先を見通す
経営判断が求められる

 このような技術の大きな転換点に直面している企業の間では、技術の向かう先を正確に予測することは困難であるものの、大転換の先を見通しつつ5年あるいは10年といった長期的な視野を持って企業ITの将来像を描くことが求められる。

 それはさながら“都市計画”を再考するというスタンスで臨む必要性に迫られており、IT活用の根本的なグランドデザインを再構築する動きが活性化してきている。

 ビジネス環境の変化と技術革新というダイナミック(動的)な環境下で、企業ITというスタティック(静的)な構造を計画することは容易ではない。しかし、激変する環境であるからこそ、羅針盤となる長期視点の計画が必要となる。

 経営者を含むユーザーとIT部門が情報化構想に対する認識を一致させるためには、大きな方向性を示した拠り所となる構想図やIT計画が必要となる。経営者はビジネスの将来像というものをそれぞれに描いているであろう。

 それを受けて、ITがどういう役割を果たしていくのか、あるいはITを活用して経営やビジネスをどのように変革していくのかについて構想を描く時期に直面しているといえる。一方、いうまでもなく、こうして作成した構想や計画は、ビジネス要求や技術環境の変化を受けて定期的に見直すことが求められる。

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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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