英国の教育家、トニー・ブザンによって考案され、世界中のビジネスパーソンや学生、子どもたちの脳力アップに活用されているマインドマップ(R)。画期的な思考ツールは自然の中で遊ぶことが好きだったブザン自身の小学生時代の体験がきっかけとなって生まれた。
画期的な思考ツールの誕生
マインドマップ(R)はトニー・ブザン(英国の教育家)によって1960年代に開発された。当初は「覚えやすく、思い出しやすい」ノートの記述法として考案されたマインドマップは、今では優れた思考ツールとして世界的に普及している。
マインドマップが世に出たのは1974年のこと。トニー・ブザンの研究と実践が結実した勉強法が評判になり、BBC教育テレビのシリーズ番組で紹介されたことがきっかけだ。「Use Your Head」(頭を使おう)と銘打った10回シリーズの30分番組は好評を博し、繰り返し再放送された(当時32歳のトニー・ブザンが講義している映像はYoutubeで観ることができる)。また、デビュー作といえる書籍が同じ題名でBBC出版から発売になり、ミリオン・セラーを記録している。
7歳の頃から「頭の使い方」に関心を持っていたトニー・ブザンが72歳になった今も追及し続けていること――それは、「グローバル・メンタル・リテラシー」の実現である。「脳の機能や癖を理解して上手く使えば、誰でも本来の脳力を発揮できる。そのためには、脳の取り扱い説明書と適切なツールが必要だ」と考え、トニー・ブザンは独自の「読書法」、「記憶法」、「ノートの記述法」を編み出した。そのいずれも、いわゆる「ノーマル(一般的)」な概念とは異なるが、脳にとっては極めて「ナチュラル(自然)」なやり方である。
この連載記事では、さまざまなエピソードを交えながら、トニー・ブザンの提唱するメンタル・リテラシーとそれを実現するためのツールについて改めて考察してみる。
記憶法、読書法、ノート法からなるブザン式学習法は、1974年に「Use Your Head(頭を使おう)」のタイトルで書籍化(英BBC、邦題「頭が良くなる本」東京図書)。同時に英BBCテレビでシリーズ化され、大きな反響を呼んだ。中でも、テーマやトピックを中心にイメージで描いて放射状に木の枝が広がるように展開するマインドマップに注目が集まった。
マインドマップは当初、「覚えやすく、思い出しやすい」ノートとして、ギリシャ・ローマ時代から使われている「イメージして、関連づける」記憶法を基に考案された。
キーワードとキーイメージ(絵、図形、記号など)に情報を凝縮する、枝状に展開するブランチを使って分類・整理する、色を効果的に使う、 情報を一枚の紙に集約して全体を俯瞰しつつ詳細も把握するなど、マインドマップには脳のさまざまな機能を積極的に活用するための工夫が盛り込まれている。
Mind Map by Kyoko Fukushima
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