「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」。2011年、米デューク大学のキャシー・デビットソンが語った予測は世界中に大きな衝撃を与えた。
職業クライシスとも言える状況の中で、果たして教育に何ができるのか?2014年夏、長野県軽井沢町に「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)」を開校したばかりの小林りん氏と、BCGパートナー&マネージング・ディレクターの平井陽一朗氏が人材育成をテーマに対談した。
ともに海外留学した経験があり、東京大学経済学部の同級生でもある二人が、自らの体験を元に語る「子どもたちのために今、親や教師ができること」。(構成:曲沼美恵/撮影:DOL)
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JR長野新幹線軽井沢駅からタクシーで約30分、緑豊かな別荘地の一角にISAKの校舎はある。全寮制のインターナショナルスクールとしては日本で初めて、学校教育基本法の第一条で定める「学校」として認可された高校だ。
2009年に設立準備財団を立ち上げて以来、これまでは、おもに中学生を対象にした期間限定のサマースクールを開校してきたが、2014年8月から常設校として本格的なスタートを切った。広々とした敷地内には校舎のほかに、同じデザインで統一された寮や体育館もある。この夏に入学した一期生はタイ、マレーシア、アメリカなど15ヵ国から集まった49人。うち日本人は18人で、全生徒の56%が全額、または部分的な奨学金を受けている。授業はすべて、英語で行われる。
代表理事の小林氏は幾多の困難を乗り越えてこのスクールを立ち上げた。
共通点は“高校中退”!?
日本の高校を辞めて単身海外へ
平井 素晴らしい校舎だね。
小林 これからいよいよ真価が問われるんだなと思うと、すごく緊張もしています。
平井 ここまで来るのは大変だったでしょう。