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石川和男の霞が関政策総研

日本のマスコミが報じない“韓国の悲願”
「使用済核燃料の再処理」を巡る日米韓の三角関係

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第31回】 2014年10月20日
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日本だけが認められていた再処理
日本政府は無関心でいいのか

 韓国三大新聞の一つで、朝鮮日報や中央日報とともに100万部を超える発行部数を誇る東亜日報が、『米、韓国の「使用済み核燃料の再処理」を容認』と題する記事を報じたのは、去る9月29日未明のこと。日本のマスコミは一切報じていない。日本政府も何ら反応を示していない。日本の大手マスコミ各社が関心を持たない理由はわからなくもない。恐らく、本件の意味をまったく理解していないのであろう。

 「再処理」とは、原子力発電所の使用済核燃料から原子力発電用のエネルギー資源として再利用できる核物質を取り出すこと。要するに、ウラン燃料のリサイクル(核燃料サイクル)のことだ。

 韓国では、運転中の原子力発電所は23基ある。これは世界第5位。その韓国が長年の悲願として米国に要望し続けてきた「使用済核燃料の再処理」について、制限的ではあるが、米国が韓国に対して容認する方針を示したと報じられた。記事では、韓国の政府と科学界の消息筋の話として、「米国が、韓国内での使用済核燃料の取り扱いを認めることを決めた」とし、「遮蔽施設“ホットセル”での制限的な再処理を米国が了解した」としている。

 これまで、非核保有国でウラン濃縮と使用済核燃料の再処理が国際的に認められているのは、平和利用に徹して核不拡散に繋がる技術を採用・実証している日本だけである。この東亜日報の報道はやや前のめりで、韓国政府が正式に認めた動きではない。だが、火のない所に煙は立たない。日本政府は、いつまでも無関心を装い続けていてはいけない。

長年の努力が実を結び
韓国は技術立国への扉を開いた

 韓国は、「核」に関して国際的な信用を得られていない。朴槿恵大統領の父親である朴正煕が大統領であった1970年代に、核開発を真剣に計画したが、結局は撤回に追い込まれた。2004年には、ウラン濃縮とプルトニウム抽出を一部の科学者が独断専行で進めてしまい、IAEA(国際原子力機関)の査察官に見咎められた。

 こうした“前科”を持つ韓国に対して、米国は核拡散(核兵器製造の可能性)を憂慮し、「韓国はなぜ日本と同じ権利を持ってはならないのか?」という韓国国内の声にも拘わらず、使用済核燃料の再処理を強く反対してきた。

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石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


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経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

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