主因は海外だが消費増税で
ケチが付いた国内経済も今ひとつ

 株価が不安定な動きになっている。9月25日には、日経平均で1万6374円の今年最高値を付け、順調に見えたが、その後海外景気への懸念が高まり、為替レートが円高に戻るなどの悪材料が続いて、先週末には1万4532円まで下落した。

 高値から11.2%の下落であり、一相場の終わりの目処とされる2割にはまだ至っていないが、昨年5月の波乱局面以来、1万6000円近辺を抜けきれずに跳ね返される展開は、感触が良くない。今週に入ってからも、月曜日に500円高、火曜日には一転して300円安と激しい動きになっている。

 主な原因は、海外経済だ。

 好調を続けていて、来年半ば頃にはFRB(連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切るのではないかとの予想もあった米国経済に関して、いくつか弱い数字が出たことから懸念が高まって、米国の長期金利が低下し、為替レートが円高に振れた。

 また、先頃行われたG20の会合でも言及されたように、ヨーロッパ経済が不調で、「日本型」のデフレに至るのではないかとの懸念が台頭している。一時は好調だったドイツ経済も、2四半期連続でマイナス成長に陥る(定義上は「不況」だ)公算が大きく、イタリア、フランスなども低調だ。

 不良債権問題は、一般に金融機関が、(1)損失を十分開示し、かつ(2)十分な自己資本を持つようにする、ことが解決の条件だが、各国政府が自国の銀行の面倒を見なければならないヨーロッパでは、(1)の段階がクリアされていないため、まだ信用が順調に拡大できる局面にない。病気に喩えると「慢性病」的な状況にあり、再びギリシア危機のような金融不安が発生してもおかしくないリスクを抱えている。

 加えて、不動産価格が下落する中で、中国経済もじりじり成長率を落としている。端的に言って、世界経済はアメリカ一国の好調が頼みの綱だ。