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ポジション限定、レギュラー確約に違和感。
井口が日本に持ち込んだ“メジャー流”契約

――ポジションは「契約」で獲るもの?「実力」で獲るもの?

相沢光一 [スポーツライター]
【第43回】 2009年2月3日
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 メジャーリーグ(MLB)で4シーズンプレーした井口資仁・内野手が千葉ロッテと契約した。

 契約条件は年俸1億8000万円+出来高2000万円の3年契約(5億4000万円+出来高6000万円)。これに日本では異例の“付帯条項”が付く。「ポジションはセカンド限定」で「レギュラー確約」。その上、現役引退後は球団指導者のポスト(監督あるいはコーチ)を約束した条項が含まれているとスポーツ紙では報道されている。

采配に影響?
不快感を示したバレンタイン監督

 この契約内容を聞いて不快感を露わにしたのがボビー・バレンタイン監督だ。「(セカンド限定の条項は)本来、公にするものではない」とし、他選手の士気に影響を及ぼすことを気にかけて「選手起用で公平を期すためにも、事前に契約内容を聞かないというのが私のポリシーだ」と語ったという。

 バレンタイン監督は今シーズン限りで契約が切れる。プロ意識の強い監督だから不満を引きずって采配に影響が出ることはないだろうが、締めくくりのシーズンに暗雲が発生したともいえる。

 井口が千葉ロッテと交わした契約の付帯条項の報道には、首をかしげたファンも多いだろう。プロ野球は優勝劣敗の世界。スター選手でも不振に陥れば、他の選手にとって代わられる。ポジションは実力で奪い取るものだ。

 が、「セカンド限定」「レギュラー確約」では、どんなに不調でもスタメンで出場し続けることになる。これではレギュラーを争う選手はやる気を失うし、監督の采配権限を球団がひとつ奪うに等しい。

 もっとも、実際のところはそこまで特別扱いではないようだ。「セカンド限定」はそのまま生きるが、「レギュラー確約」は正確には「一軍確約」。「けがをしない限り二軍落ちはない」というもので、他の一軍野手とのポジション争いはある。バレンタイン監督も井口を含めた複数のセカンド候補者の中から選択して起用することはできるのだ。

 とはいえ、井口はどんなに不調でも一軍(28人)に居続けるわけで、二軍の選手にとっては一軍入りがひと枠分狭まることになる。不満を持つ選手が出るのも当然で、バレンタイン監督が危惧するのはその点だろう。

特別扱い契約の背景にある
球団の懐事情

 このような特別扱い契約が成立したのは、井口と千葉ロッテ両者の思惑が一致したからだ。

 井口は2005年にシカゴ・ホワイトソックスと契約してMLBのキャリアをスタート。1・2年目は正2塁手として2割8分の好成績を残した。3年目もホワイトソックスでセカンドを守ったが打撃が不調だったため、シーズン途中でフィラデルフィア・フィリーズにトレードされる。

 フィリーズでは主に代打で出場。3割を打ったが、この扱いには不満を持ったようで、セカンドを守れることを条件に移籍先を探し、サンディエゴ・パドレスに入団。しかし、右肩の負傷で期待通りのプレーができず、戦力外通告を受けた。

 井口は次の所属チームを探すに当たって、こうコメントしている。

 「(この2年間は)シーズン中のトレードやケガで精神的に苦しかったし家族にも迷惑をかけた。これからは落ち着いて野球に取り組みたい」

 この条件が井口にとって「セカンドのレギュラーとしてプレーできるチーム」だったのだ。

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相沢光一 [スポーツライター]

1956年埼玉県生まれ。野球、サッカーはもとより、マスコミに取り上げられる機会が少ないスポーツも地道に取材。そのためオリンピックイヤーは忙しくなる。著書にはアメリカンフットボールのチーム作りを描いた『勝利者』などがある。高校スポーツの競技別・県別ランキングをデータベース化したホームページも運営。 「高校スポーツウルトラランキング」


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