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樫本大進
「神童」が手に入れた強かな情感

週刊ダイヤモンド編集部
【第93回】 2009年9月11日
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樫本大進
写真 加藤昌人

 「神はおとなの衣装をまとった子どもにすべてを与えた」――。パリのロン・ティボー国際音楽コンクールを50年の歴史を塗り替える最年少で制した17歳を、地元メディアは手放しにこう賞賛した。11歳でのバッハ・ジュニア音楽コンクール優勝以降、名だたる国際コンクールを総なめにし、「神童」の名をほしいままにしてきた。

 ピアニストの母は、まだ言葉も話せないわが子に、たくさんの楽器に、その新鮮な響きに触れさせた。お気に入りはヴァイオリン。「弦と弓の2つあって、得した気分だったようだ」と後に母に聞かされた。3歳でレッスンを開始、7歳でニューヨークのジュリアード音楽院のプレカレッジに入学、11歳で名教師ザハール・ブロンに招かれる。ヴァイオリンをおもちゃにしていた頃の無邪気さは消え、プレッシャーに押しつぶされそうな日々に、「激しく反抗した」。だが、この葛藤が音楽への愛を再生産し、コンクール連覇へと導いたのだろう。

 名指揮者との共演も、卓抜なる個性を鍛え、輝かせた。2006年のチョン・ミョンフン指揮、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のブラームスの協奏曲の録音は名盤として評価が高い。ミョンフンは「演奏するたびに違う特別な感情を引き出してくれる」。

 09年2月の来日ツアーでは、ロン・ティボーで指揮者を務めたマレク・ヤノフスキがタクトを振った。苦さも甘さも受け入れた強かな情感溢れる音色に、成長ぶりを実感したに違いない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 遠藤典子)


樫本大進(Daishin Kashimoto)●ヴァイオリニスト 1979年生まれ。10代で5つの権威ある国際音楽コンクールでの優勝を果たし、世界の注目を浴びる。現在はドイツに住み、世界ツアーで名指揮者、演奏家と共演。2007年より兵庫県赤穂市と姫路市で室内楽音楽祭を開き、音楽監督を務める。使用楽器は1674年製アンドレア・グァルネリ。

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