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本当にダメにならないとやはり改革は無理なのか?
アベノミクスの“空手形”に日本の将来を案じる

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第349回】 2014年10月28日
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株価の不安定化に相次ぐ閣僚の辞任劇
アベノミクスに「賞味期限切れ」の声も

 最近、投資家や経済専門家と話していると、彼らのアベノミクスに対する関心が低下していることがよくわかる。話やメールの中に、ほとんどアベノミクスという言葉さえ出てこない。たまにアベノミクスという言葉が出てきても、「アベノミクスは賞味期限切れ」などという内容がせいぜいだ。

 関心が低下している理由は、アベノミクスに対する期待が持てなくなっていることだ。具体的に言えば、金融・財政政策で一時的に株価が上昇し、景気回復への期待が醸成されたものの、肝心要の成長戦略に目ぼしい政策が出てこない。それでは、「今までと何も変わらない」ということが露呈し始めているのだ。

 今年に入って、久々に給与が上がり始めたが、足もとにおけるインフレ率の上昇で家計部門の実質所得が低下し、「生活が苦しくなった」という家計が増えている。また、“金余り”によって一時的に株価が上昇したものの、景気先行き懸念などの影響で株価の上昇トレンドは長続きしていない。

 世界経済の下振れリスクの顕在化によって、最近、株価が不安定な展開になっており、ここへ来て人々の心理状況にも、やや不安材料が影を落とし始めている。

 さらに相次ぐ閣僚の辞任もあり、アベノミクスの神通力は低下している。安倍政権にとって最も重要なポイントは、規制緩和や大胆な改革などの政策を通して、わが国の将来に希望が持てるような構図を示すことだ。

 それができないと、アベノミクスは今までの政策と何も変わらないことになる。ただ、現在の情勢を考えると、アベノミクスに大きな期待を持つのは難しいかもしれない。

 我々が期待を抱いたアベノミクスのセールスポイントは、主に2つあった。1つは、日銀に黒田総裁を誕生させ、思い切った金融緩和策を実施したことだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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