ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
Close Up
【第75回】 2009年8月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
週刊ダイヤモンド編集部

原発ルネサンスで拡大狙う東芝、日立、三菱重工への懸念

1
nextpage

世界的な原子力発電回帰を受け、メーカー間の受注競争が本格化している。だが、早期立ち上がりが期待された米国市場拡大の遅れが懸念されるほか、欧州の原子力大手、仏アレバが海外案件の失敗で収益を悪化させるなど、リスクも顕在化してきた。東芝、日立製作所、三菱重工業の日系メーカーも、決して例外ではない。

 世界的原子炉メーカー、仏アレバの資本引受先が、原子力発電関係者のあいだで話題となっている。

 2008年度、同社原子炉部門の業績は、売上高30.4億ユーロに対して▲6.9億ユーロと3期連続の営業赤字に沈んだ。

 6月末に、アレバは構造改革の実施を表明した。年度内に最大15%まで、戦略的パートナーから出資を仰ぐという。約20億ユーロを調達する見込みだ。出資の候補として、アレバと包括提携を結ぶ三菱重工業の名も挙がっている。さらにアレバは、営業利益率11%を誇る成長中の“虎の子”送配電事業の放出まで思い切る。

 一連の改革の背景には、「2つの理由がある」と関係者は指摘する。

 第一に、アレバが03年に32億ユーロで受注したフィンランド・オルキルオト3号機の建設遅延によるコストの増大だ。最新鋭大型炉として開発したEPR(欧州型加圧水型軽水炉)初号基の建設だけに、アレバの意気込みは大きかった。だが品質や工程管理のトラブルが続き、約3年遅延して追加コストが発生。発注元の電力会社から、逸失利益も含め20億ユーロ以上の賠償請求を起こされたのである。

 第二に、原子炉部門に34%出資していた独シーメンスが資本関係解消を決めたため、その持ち株分を買い取る資金が必要となった。

 一方でアレバは、ウラン鉱山開発、濃縮工場建設、原子炉建設などを進めるため、12年までに100億ユーロ規模の投資を計画している。資本金や手元資金を厚くする必要に迫られているのだ。

 この欧州の雄、アレバの苦境は、日系原子炉メーカーにとって、決して対岸の火事ではない。国内原発需要が頭打ちで、東芝、日立製作所、三菱重工は海外展開を迫られており、同様のリスクにさらされかねないからだ。

 各社は海外展開を視野に、世界的メーカーとの連携を加速させてきた。06年の東芝による米ウエスチングハウス(WEC)買収をはじめ、日立は米ゼネラル・エレクトリック(GE)と戦略提携を締結、三菱重工はアレバと中型炉開発や燃料分野で包括提携した。

世界のプラントメーカー別炉型と米国の設計認証取得状況

 皆、強気の売上高目標を掲げる。東芝‐WEC連合が20年度に今より倍増の1兆円、日立が15年度にやはり1.5倍の3000億円、三菱重工が19年度に倍増の6000億円としている。

1
nextpage
Special topics
ダイヤモンド・オンライン 関連記事


DOLSpecial

今週の週刊ダイヤモンド

2014年4月26日号

週刊ダイヤモンド最新号

定価710円(税込)

週刊ダイヤモンドのサイトへ
特集

ソニー消滅!!

      
  • Prologue 消えるのはソニーか? 延命経営か?
  •   
  • Part 1 ビジョンなき“延命経営”の果て
  • 1兆円を生む“錬金術”の頓挫 ソニー生命吸収計画の全内幕
  • Interview 井原勝美●ソニーフィナンシャルホールディングス社長
  • Column ソネットに巨額の“埋蔵金” 1600億円捻出の真相
  • エレキの赤字穴埋めに消えるソニー創業の地と保有資産
  • 米国直営20店舗も一斉閉店 VAIO撤退で広がる悲劇
  • Column 人材流出で電池事業が弱体化 売却めぐり方針も二転三転 
  • Part 2 “平井ソニー”が問われる戦略と経営責任
  • 後追いする“モルモット” 明暗分かれたソニーとパナ
  • 居座り派vs改革派 経営中枢全人脈
  • Interview 平井一夫●ソニー取締役、代表執行役社長兼CEO
  • Part 3 ソニーの命運を握った男たちの素顔
  • 未来志向に生まれ変わるか 「異色コンビ」が挑む本社改革
  • Column 銀行の免許ください! 異端児たちの創業物語
  • Column スマホ事業はギャンブル!? 収益多様化が安定の鍵
  • 現場レポート “ソニーの遺伝子”が生み出すイノベーション
  • Column 世界最高の「電子の目」でアップル向けも倍増
  • Interview 鈴木智行●ソニー執行役EVP(コーポレートR&D・デバイス事業担当)
    • Epilogue “ヤメソニー”が語り継ぐものづくりの魂
  •   
  

underline

週刊ダイヤモンド1冊購読

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


Close Up

激動する世界経済の流れに、日本も無縁ではいられない。政治・経済、企業・産業、社会の注目テーマをクローズアップし、独自の視点、切り口で「詳説」する。

「Close Up」

⇒バックナンバー一覧