要介護原因の4位、5位が
骨折・転倒、関節疾患

 若さを保つのに欠かせないのが、骨と関節、筋肉です。前回のテーマ、運動を行うにはこれらが十分に機能しなくてはなりません。またこれらが衰えるとたちまち日頃の動作に「老化」として表れてしまいます。立ちあがる時、思わず「どっこいしょ」と掛け声をかけたり、歩く動作に力強さがなくなったり、姿勢がゆるんで加齢の影響が表れます。

 スポーツを楽しむならなおさら骨と関節、筋肉の衰えはプレーに関係します。ゴルフの飛距離が落ちる、草野球で打球が飛ばなくなる、テニスで球を追いかけて転ぶ。ああトシか、などと嘆きたくなりますね。

 まだ先の話かもしれませんが、要介護の原因を調べた厚生労働省の国民生活基礎調査(2013年、10万名対象)によると、原因の1位が脳卒中(18%)、2位が認知症(16%)、3位が高齢による衰弱(13%)、4位が骨折・転倒(12%)、5位が関節疾患(11%)、以下心疾患、パーキンソン病、糖尿病、呼吸器疾患、脊髄損傷、その他原因となっています。4位、5位は関節、骨の大幅な衰えに起因します。

 関節の不具合で多いのが変形性膝関節症です。初期では朝歩き始めて膝に違和感を覚えたり、軽い痛みを感じたりする程度、しばらくすると消えてしまったりします。進行すると正座やしゃがむ姿勢、階段の上り降りの際に痛みを感じるようになってきます。

 さらには膝に炎症が起こって腫れたり、熱を持ったり、水がたまったりという症状が出てくるのです。膝の関節部分の軟骨がすり減り、炎症や骨の変形が起き、骨がぶつかり合ったりするのが、変形性膝関節症なのですが、さらに症状が進むと杖なしには歩くことができなくなります。

 自覚のある患者数は約1000万人、潜在患者を含めれば3000万人と推定されます。50代以降から急増し、患者は女性が多いですが、男性も無縁ではありません。症状が出たら早めに専門医にかかるのが肝心。サプリメント、薬物療法、温熱・冷却療法や運動療法を受けることになりますが、場合によっては手術もあります。