アベノミクス第3の矢である成長戦略の新しい柱として、女性活躍の推進に注目が集まっている。女性閣僚5人のうち、早くも2人が辞任するなどアクシデントはあるものの、政府の具体的政策もが明らかになってきた。
最近打ち出された女性活躍推進の政策は、産業界も巻き込み、家庭にいる女性を、社会・職場に引っ張り出すために注力していることがうかがえる。いずれもワークライフバランス策や適切な研修や評価など、ワーキングマザーにとってのブラック企業化を防ぐ効果が期待できるので応援したい。しかし一連の対策からは、一番ブラック化を防がなければいけない対策が抜け落ちている。それは、日本の家庭対策(ダンナ対策)だ。
夫への愛情曲線が急落するわけ
1986年一橋大学大学院修士課程修了、同年大和証券入社。94年に大和総研に転籍、企業調査を経て2010年大和証券グループ本社CSR室長~広報部CSR担当部長。2011年7月より大和総研に帰任、2012年4月より調査本部 主席研究員。担当分野はCSR全般、ソーシャルビジネス、エシカル消費、社会的責任投資(SRI)。NPO法人・社会的責任投資フォーラム共同代表理事。アナリスト協会検定会員、サステナビリテイ日本フォーラム評議委員、東京都環境審議会委員、など。
先日も、幼児を抱えるワーキングマザー数名と話をしていたところ、ダンナの家事育児の参加の仕方があまりに無責任である、と彼らへの怒りで話が盛り上がった。一説によると妻の夫への愛情曲線は、結婚前が一番高く、第一子出産から2~3年ほどで急落、場合によってはマイナスになるそうだが、その理由は家事子育てへの傍観者的な態度や考え方だという。
身の周りでも、「子育ては共同責任だから、平等に家事育児をシェアしよう」という殊勝なダンナはほぼ皆無。男性側はそう自己申告しても妻に裏をとると自己満足にすぎないことが多い。「父親」というステータスの男性のうち、朝の出勤時に子どもが赤い顔して「頭が痛い~」と起きてきて、どきっとした経験がある「父親」はどのくらいいるだろうか?
ワーキングマザーの場合、朝、子どもの様子が「おかしい」と分かった瞬間、子どもの熱を測り食欲の有無を尋ねながら、頭の中では医者に連れて行くべきか、その後軽かったら保育園に預けられるか?会社は1時間遅刻すれば大丈夫か?朝イチの会議はどうする?で、もし登園できなければ一日休むか、あるいは午前半休して午後は実家の母に応援を頼むか?休む場合の仕事の段取りはどうする?来客はキャンセルを入れないと、などなどが30秒間ほどで頭をよぎりながらも、子どもを着替えさせ、食事を用意する。