状況4
若いトレーニーとの間に、信頼関係を築くのが難しい

対処法4
ラポールを構築するために、「愛してるの原則」を実践する

 OJT実施の大前提となるのが、トレーナー・トレーニー間のラポール(相互に信頼している状態)の構築です。ラポールの構築がなければ、トレーニーは本音でトレーナーと接しようとしないかもしれません。

 ラポールを構築するためには、トレーナー・トレーニーの相互理解が不可欠です。年齢の離れたトレーナー・トレーニーの間で価値観の違いがあるのは当然のことです。

 しかし、相手に関心を持ち、相互理解を深めることで、価値観の違いを乗り越え、調整することが可能となります。トレーニーに関心を持って接するためには、以下に示す「愛してるの原則」を実践することが有効です。

「愛してるの原則」
(1)注目:attention」…トレーニーの言動に注目する
(2)関心:interest」…トレーニーの言動に関心を持つ
(3)共感:sympathy」…トレーニーの言動に共感する
(4)信頼:trust」…トレーニーを信じる
(5) 敬意:respect」…トレーニーに敬意を払う 

((1)~(5)の頭文字をとって「あ(a)・い(i)・し(s)・て(t)・る(r)」)

 つまり、トレーニーをよく見て、関心を持ち、共感し、信じて、敬意を払うとき、トレーナーとトレーニーに信頼関係が生まれます。そして、この信頼関係がOJTの潤滑油となるのです。

 以上述べたように、OJTのスキルのみを身につけてもなかなか効果を発揮することはできません。OJTの土台づくりができてはじめてスキルが生きてきます。次回以降は、具体的なOJTスキルについて見ていく予定です。