経営 X 人事

たくさん声を聞いて軌道修正し続ける
それが制度活性化のコツ

採用や育成を中心とする人事部門の業務は、営業部門などとは違い、定量的な評価が難しいだけに、担当者の試行錯誤は終わりのないものに感じがちです。
サイバーエージェント執行役員の曽山哲人氏は、会社が急拡大する中で、さまざまな人事施策をリードし、挑戦的な企業風土をつくり上げてきました。
人事部門で働くみなさまからの疑問や悩みに、シャープに答えていただきます。

【質問】
 曽山さんこんにちは。ひとつ悩みがあり、ご相談に乗っていただければと思います。
 社内で新規事業を経営陣に直接提案できるコンテストがあるのですが、応募数が思ったように増えず、苦戦しております。
 せっかく社員が提案してくれた案も残念ながら実現に至るものがなく経営陣からも「イマイチな案しかでないならやめたほうがいい」と言われています。
社員にヒアリングすると、「出したいけど、時間がない」というコメントが多く、この先どのように対処しようか悩んでおります。
 このようなケースでは、どのように進めるのがよいと思われますか?
(愛知県 F.S)

なぜアイデアが出せないかを
社員にとにかく聞く

 曽山です。F.Sさん、メールありがとうございます。新規事業コンテストの運営は大変ですよね。

 私もとても苦労しましたし、今でも改善を続けています。

 当社には「ジギョつく」という新規事業プランコンテストがありますが、年間1000件ペースで応募があります。

 こういう人事制度のように「社員に主体性を発揮してもらうための環境づくり」で大事なポイントは、たくさん声を聞いて、軌道修正をし続けることだと思います。

 もう少し具体的にお話すると、

・なぜアイデアが出せないかを、社員にとにかく聞く。
・その中で最も数に貢献できそうなものを絞って、軌道修正してみる。

 という2点をまわし続ければ、光明が見えてくるはずです。

 私の人事の哲学の一つに、「障害の排除」というキーワードがあります。
「社員の仕事の邪魔をしているものは、人事ができる限り排除する」という考えです。

 たとえば「なぜ出せないかを、社員にとにかく聞く」ときに、「本当にそれが障害なのか」を徹底的にヒアリングして、まずは障害になっているものを集めてください。

 ちなみに、ここではヒアリングする「数」が大事です。

 たとえばこういうヒアリングをすると出てくる言葉として多いのが、「時間がない」という言葉です。いろんな会社の新規事業担当者の方とお話をしているとこの単語に惑わされているがとても多く感じます。

 現場の時間を増やすのは簡単ではないので、そこであきらめてしまうケースが多いんです。

 しかも「時間があれば出してくれる?」とあなたの質問に対して社員が「出すよ!」と言ってくれても、いざやってみると応募数が増えないことがあります。

 そうなると人事は「私は直属の上司でもないし、時間を新規事業のために強制でとるとかまでの権限はないから…」ということで意気消沈してしまう。それではもったいないですよね。

 ですから、なんとか糸口を見つけないといけません。

 前述の通り、こういうヒアリングのときには「数が大事」です。「意見が多いものを集める」のではなく、「少数意見でもいいから、どういう障害があるのか種類をたくさん集める」ことが大事です。

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曽山哲人

1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。1998年伊勢丹に入社、紳士服配属とともに通販サイト立ち上げに参加。1999年、20名程度だったサイバーエージェントに入社。インターネット広告の営業担当として入社し、後に営業部門統括に就任。2005年に人事本部設立とともに人事本部長に就任し2008年に取締役就任。現在は「採用・育成・活性化・適材適所」など人事全般を手がける。社外にもブログやソーシャルメディア、著書による情報発信や人材マネジメントや組織活性化等、幅広いテーマで講演・教育活動も積極的に行っている。近著に「クリエイティブ人事 個人を伸ばす、チームを活かす」(金井壽宏・神戸大学大学院教授と共著。光文社新書)がある。


曽山が答える人事の疑問

会社が急拡大する中で、さまざまな人事施策をリードし、挑戦的な企業風土をつくり上げてきたサイバーエージェント取締役の曽山哲人氏が、人事部門で働く方の疑問や悩みに答える。
 

「曽山が答える人事の疑問」

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