「今後どうなるか、市場関係者も見極めが付いていない」(野神隆之・石油天然ガス・金属鉱物資源機構上席エコノミスト)

米国のシェールオイル増産、そして地政学的リスクによる供給途絶懸念の後退も、原油価格下落の一要因だ。写真はイラク南部の油田
Photo:REUTERS/アフロ

 原油価格が低迷している。7月末まで100ドル台(1バレル当たり、先物期近。以下同)で推移していた北米市場の原油価格(WTI)は、10月初めには90ドル割れ、16日には一時2年4カ月ぶりとなる80ドル割れを記録し、27日にも再度80ドルを割り込んだ。同様に欧州市場(ブレント)も、105~110ドル程度から4年ぶりとなる安値圏、85ドル近辺に下落している。

 原油価格急落の要因は、大きく二つある。

 第一に、世界経済の成長減速に伴う需要の鈍化、第二に、供給過剰である。従来なら、需要が弱ければ石油輸出国機構(OPEC)が減産を行い、価格の維持を図るところだが、その先導役であるサウジアラビアは10月1日に逆に輸出価格を引き下げ、市場関係者の予想を裏切った。

70ドルまで下落の可能性も

 今後の鍵を握るのは、11月27日のOPEC総会だ。ここで減産の方針が示されるかどうかが、相場を左右するだろう。

 減産となれば、相場は反発し、落ち着きを見せるはずだ。ただし、需要の鈍化から、上昇はWTIで95ドル程度までとなりそうだ。