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野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む

輸出激減が「底打ち」する時期は見えた!?
問題はそれ以降の新たなビジネスモデル

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第15回】 2009年3月28日
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IMFの経済見通し

 国際通貨基金(IMF)は、3月19日、主要20ヵ国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20)に提出した最新の世界経済見通しを公表した

【表1】IMFによるGDPの実質成長率見通し
IMFによるGDPの実質成長率見通し

 2009、2010年の国内総生産(GDP)の実質成長率見通しは、【表1】のとおりだ。

 世界全体は、戦後初のマイナス成長に落ち込む。日本の09年成長率は、1月28日の予測ではマイナス2.6%だったので、大きく引き下げられた。

 ここで重要なのは、日本が他の国に比べてより深くより長いマイナス成長に直面すると見られていることだ。

 私は、『週刊ダイヤモンド新年合併号』(08年12月27日/09年1月3日合併号)の特集記事で、「危機が収束するまでに実質GDPが10%ほど落ち込む」と書いた。IMFの上の見通しでは、08、09、10年を通じると、日本の実質GDPが6.7%ほど下落することになる。したがって、新年合併号で書いた見通しにかなり近づいてきたことになる。

 なお、同期間に、アメリカは1.3%の下落にとどまる。日本とアメリカは大きく異なる問題に直面していることがはっきりと示されている。

輸出の推移

 日本経済がこのように大きなダメージを受けるのは、輸出国だからである。輸出の急減によって生産活動が急収縮するのだ。

 輸出の落ち込みは、いまなお続いている。財務省が3月25日に発表した09年2月の貿易統計速報によると、輸出は前年同月比49.4%減の3兆5255億円となった。つまり、1年前に比べて、ほぼ半減したわけだ。

 輸入は43.0%減の3兆4431億円だったので、貿易収支は824億円の黒字となった。このため、08年9月以来、5ヵ月ぶりに黒字に転じた。輸入が減少したのは、中国からの衣料品輸入などの減少、原油など資源価格の落ち込み、そして円高による。ただし、08年度の貿易収支は、赤字に転落する見通しだ(08年4月~09年2月までの累計貿易収支は約7400億円の赤字である)。赤字になるのは、80年度以来である。

 2月の輸出を地域別にみると、前年同月比はつぎのとおりだ。

・アメリカ向け  58.4%減
・EU向け    54.7%減
・アジア向け  46.3%減
・中国向け   39.7%減

 品目別にみると、前年同月比はつぎのとおりである。

・自動車         70.9%減
・半導体等電子部品 51.1%減
・自動車部品      60.8%減
・鉄鋼           42.0%減
・プラスチック      49.4%減

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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