経営 X 人事

スケジュールの後ろ倒しで
就活の枠組みはどう変わるのか?

かつては数少ない候補企業に対して、短期間で活動し、進路を決めた就職活動は、この30年で大きく姿を変えた。いわばクローズドだったものが、オープンになったと言える。その就職が、いままた変化しようとしている。現在の大学3年生が就職活動をする平成28年(2016年)度から、採用スケジュールが変わる。これによって、採用のありようは、どのように変わるのだろうか。

ネットや携帯電話が
就活のプロセスを変えた

 現在の大学3年生が就活をすることになる平成28年度採用から、説明会の解禁が3カ月(大学3年生の12月から3月)、面接をはじめとする採用選考解禁が4カ月(大学4年生の4月から8月)後ろ倒しされる。

 今回は、就活スケジュールの見直しの機会に、就活の枠組みについて考えてみたい。企業の採用選考のスケジュールの大略を示すと下図である。

 

 私が採用の責任者を務めていた20年あまり前では、学生と面接を始める1ヶ月前からリクルーターが学生に会い始め、本格的な面接を経て内々定を出し終えるまで2―3カ月で完了した。終了した時期は4年生の7月だった。図で言えば、「採用選考活動」の部分からいきなり始まったといえる。

 現在のようにこれだけ就活が長期に及ぶようになったのは、誰もが志望する会社に応募ができるようになり、企業からも簡単に学生に連絡がつくようになったからだ。ネットや携帯電話が就活のプロセスに定着したことがこれを可能にしている。

 それまでは、電話は一人一台ではなくて、家に一台だったので、連絡一つとってもなかなか学生につながらなかった。下宿している学生に電話をすると、おばあさんが「はい、はい、呼んできます」と取り次いでくれた。しかし、待てど暮らせど音沙汰がなく、30分も受話器を握ったままだった社員もいた。おばあさんは取り次ぐ途中で電話のことをすっかり忘れてしまったのだ。

 ネットや携帯電話が普及する以前は、会社のリクルーターが、自分が所属していたゼミやサークルの後輩に会いに行くか、資料請求のハガキの中から、学生に電話をかけて接触する方式がとられていた。

 人事部の人数にも制約があるので、不特定多数の学生を相手にすることはとてもできなかった。結果として、会社のリクルーターと関係を持てない学生は、企業との接触が難しかった。

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楠木 新

金融機関に勤務するかたわら、「働く意味」をテーマに執筆、講演などに取り組む。12万部を超えるベストセラーになった『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)、『就職に勝つ!わが子を失敗させない「会社選び」』(ダイヤモンド社)など著書多数。近著に『人事のプロが教える 働かないオジサンになる人、ならない人』(東洋経済新報社)がある。


新卒採用では、なぜ能力やスキルを勘案しないのか?

「志望動機」に「自己分析」。エントリーシートと面接での自己演出……。就職活動は一昔前に 比べると様変わりし、なにやらややこしく面倒になった観がある。これを採用側から見るとどうなのか。本質的には変わっていない、と筆者は言う。自社に合っ た人材をいかに確保するか。よりよい採用のための考察を、まず現状を分析することから始めることにしよう。
 

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