孔子がこだわった精白米に自家製の酒、ショウガ※享年(数え年で表記)
イラスト/びごーじょうじ

 『論語』は経営の神様と呼ばれる渋沢栄一が愛読していたことでも知られ、経営者の経典と呼ばれている。

 今でも経済誌などで定期的に特集が組まれる『論語』は、孔子の発言を弟子たちが集めた選集だ。成立は孔子の死から約150年後。当初は入門書のような位置付けで評価は低かったそうだが、長らく読み継がれやがて古典の一つとなった。

 孔子は長寿でも知られる。没年齢の74歳は春秋戦国時代ということを考えれば、かなりの長命だ。『論語』の「第十郷党篇」からは食にこだわりを持っていた様子がうかがえる。精白された飯を好み、魚や肉は傷んだもの、色や臭いが悪いもの、季節外れのものは避けた。煮込み過ぎた肉や失敗した料理も食べない。肉の量は多いときでも飯の量を超えないようにし、酒は自家製にこだわり、市場で買ったものは飲まないようにしていた。変わったところでは食事中は話をしない、というこだわりも。

 注目されるのは添え物のハジカミ(ショウガ)は捨てずに食べる、と書かれていることだ。

 孔子は毎日、ショウガの副菜を取ることも勧めている。ショウガの薬効は古くから知られ、明時代に書かれた薬学書『本草綱目』では「しょうがは百邪を防御する」とある。現代でもショウガに含まれるジンゲロールやショウガオールには、体を温める作用があると女性に人気だ。