その昔、職場の若い独身男性が風邪をひいたりすると、「誰かごはん作ってくれる人はいないの?早くお嫁さんをもらいなさいよ」と言われることがあったようだ。今となっては死語かもしれないが“お嫁さんをもらう”ということが、料理を作ってくれる人がいる、ということとつながり、独身でいるより、家庭がある人の方が健康でいられる、と考えられていたのだろう。

 でも、今はどうだろうか。独身か既婚かで、食卓や健康度合いは変わってくるだろうか?食生活を改善する過程においては、独身も既婚も変わらない、というのが私の実感だ。むしろ、独身の方が自由がきく分、意外と食生活を改善しやすい場合すらある。

 食事カウンセリングをしている中で、食生活を変えるにあたって家族の協力が得られるかどうかを尋ねると「奥さんには怖くてお願いできない」「食事は子どもにあわせている」「奥さんも働いているんで」と協力を得られない旨の答えが返ってくることがほとんどだ。

 家での食事が多いほど、その変えられない食習慣は大きなネックになる。その生活が続くとどうなるか。お風呂上がりに見た、あなたの身体は、何を語ってくれるだろうか。

 ただ、独身、既婚に限らず、ビジネスマンにとって主導権をもって選びやすいのが昼食であることは共通している。だからこそ、どんな昼食を選ぶかが、非常に大事なのだ。昼食をとる時間がない、という人も、まずは読み進めてほしい。そして、どうかぜひ、巷にあふれる“落とし穴”に落ちないよう気を付けてほしい。

「ヘルシー」に惑わされるな

 その落とし穴には、ヘルシー、という名前がついていることが多い。ヘルシーを直訳すると、健康な、健康に良い、という意味になるが、ちまたにあふれるヘルシーは、「野菜」「低カロリー」「オーガニック」「コラーゲン入り」など、何か良さそうな響きがひとつでもあればOK、というような風潮を感じる。かくいう私も、少し小さめのパフェを食べながら「このパフェ、小ぶりで、ヘルシーだね」と口にしたら、「あなたにとって“ヘルシー”って何!?」と母に心底驚かれたことがある。ただ、そのように、サイズの比較論でのヘルシーがあるのも確かだろう。

「よし、今日からヘルシーランチにしよう!」と宣言した同僚から牛丼屋に誘われたらどう思うだろうか?きっと、言っていることとやっていることが違うと思うのではないだろうか。でも、事実、牛丼屋は、コストパフォーマンスよくヘルシーランチを食べられる場所だ。