大丸が、そごう心斎橋本店を379億円で買収することを決めた。大阪で百貨店の増床が相次ぎ競合が激しくなるなか、生き残りをかけた決断だった。一方、北海道では、老舗百貨店・丸井今井の再建をめぐり高島屋と伊勢丹がつばぜり合いを演じている。猛烈な消費不況が百貨店の再編を促している。

 「大阪では負けられない」――。J.フロント リテイリング傘下の大丸が、大阪のそごう心斎橋本店を379億円で買収することになった。2年後には、全国一の百貨店激戦区になる大阪での生き残りをかけての選択だった。

 “2011年問題”と呼ばれるように、大阪市内では09年から百貨店売り場の増床が相次ぎ、14年にはなんと現状の1.5倍になると試算されている。11年にJR大阪駅の真上に三越伊勢丹が進出することに対抗して、各百貨店が増床に乗り出したためだ。

 梅田だけでも、阪急うめだ本店と大丸梅田店が増床。これに誘発されて、なんばの高島屋や、阿倍野の近鉄百貨店も増床計画を打ち出した。

売り場面積は1.5倍に

梅田となんばの挟撃
心斎橋は地盤沈下

 しかし、大阪の百貨店市場は3年連続で前年割れ。大阪の百貨店市場が供給過剰になることは明らかだ。

 この増床合戦に乗り遅れたのが、梅田となんばに挟まれた心斎橋。

 増床した後の各店舗の売り場面積は6万~10万平方メートルになる。