ドコモ中期計画延期に滲む <br />最下位転落の波紋と重圧中期計画の目玉の一つになる予定だった光回線のセット販売「ドコモ光」について発表する加藤社長。サービス詳細は後日持ち越しに
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 中期計画発表の“延期”は、自信を失いつつあるNTTドコモの苦心を象徴するようだった。

 10月31日、ドコモは2014年度第2四半期決算を発表した。年間業績を下方修正し、売上高が4兆4000億円(1900億円減)、営業利益が6200億円(1200億円減)となる見通しだ。初めて営業利益で通信3社の最下位に転落するとあって波紋が広がっている。

 直接の原因は、今年6月に先陣を切ってスタートさせた「新料金プラン」で、ユーザーの動向を完全に見誤ったことだ。

 新料金プランは、スマートフォンなら月々2700円の定額通話料金と、データの使用容量に応じた課金が特徴だ。縮小する音声通話への課金から、iPhoneやタブレット普及で増加するデータ通信に価格体系をシフト。家族間でデータ容量をシェアしてもらい、ドコモファンの囲い込みを狙った。

 ところがフタを開ければ、通話料を安くしたい“倹約ユーザー”が申し込みに殺到して、年内に1500万人の契約を大幅に超える勢いで拡大。期待のデータ通信も最小限に絞った人が多く、これが年間1200億円という巨額の利益の下振れを招いてしまった。

「先行的な減益が発生しているが、顧客基盤の強化になっている」

 加藤薫社長は、ユーザーの支持を集めている点を強調したが、どこか歯切れの悪さが漂っていた。

 実は本来ここで、反転攻勢を盛り込んだ「新中期計画」(15~17年度)をお披露目する予定だった。