OJTの第2ステップは、「目標設定」です。適切な指導行動をとるために、欠かせないステップですが、その目標はバランスの取れたものであり、かつトレーニーにとって「腹落ちする」ものである必要があります。いくつかの状況と、それに即した対処法を示します。(構成:ダイヤモンド社人材開発編集部 間杉俊彦)

 

状況1
多様な目標を整理させることができない

対処法1
短期目標と中長期目標に分け
両者をつねに意識させる

 一口に目標といっても、さまざまなものがあります。トレーニーが多様な目標を整理できるように支援したり、それらを巧みに組み合わせて、トレーニーの成長に結びつけることがトレーナーの役割です。

 まず、目標が多い場合、その目標を達成時期(時系列)で整理させ、短期目標と中長期目標に分けさせましょう。短期のみならず、中長期目標も意識させることで成長イメージを描きやすくなります。

 短期目標は、おおむね1年以内での達成を目指す目標、とするのが適当でしょう。短期目標を言い換えると、達成に向けて最善の努力をすべき当面の具体的目標と言えます。

 一方、中長期目標とは、おおむね3~5年以内での達成を目指す目標となります。

 いわば「将来の成長イメージに結びつく目標」ということで、トレーニーが新入社員であれば、ひととおりの業務を自分でできるようになる、すなわち「一人前になる」ことが、中長期目標となるでしょう。

 その場合、3~5年目の先輩をイメージして「〇〇さんのように、~ができるような人材になりたい」という具体的なロールモデルを設定すると有効です。

 その当面のゴールに向けて、「一人前」の要件をブレークダウンして、個別具体的な課題に切り分けたものが短期目標と言ってもいいでしょう。