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「引きこもり」するオトナたち

「先行く当事者を見て、行き詰まり感が軽減できた」
“北海道版ひきこもり大学”を経験者が開催

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第222回】 2014年11月20日
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 企画からチラシ作成、司会進行、開会あいさつ、講師のすべてが当事者たちという手作りのイベントが11月8日、北海道で開かれた。

 「ひきこもり大学」の北海道版ともいうべきイベントで、名付けて「道産こもり179大学」。その由来は、「道産子」と「ひきこもり」を合わせたもので、179は、北海道の市町村数。この造語をネーミングしたのも元当事者で、「広く全土のひきこもり者の知恵を結集した大学」との思いが込められている。

 主催したのは、若者の範疇に入らない青年・壮年期の引きこもり者へのへの対応に軸足を置き、当事者自らが「新しい働き方」を創造するなどの幅広い活動を続ける札幌市のNPO「レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク」(田中敦理事長)。他の様々な家族会や支援団体などとも連携して、今回の会を企画した。

 この日、会場となった北農建保会館大会議室は、全道から集まった100人近い参加者で満席状態となった。

 開会のあいさつを行ったのは、元当事者で、「道産こもり179大学」をネーミングし、チラシのイラスト(写真参照)も手がけた蔵谷俊夫さん(38歳)。

 「(引きこもり者などを対象にした)宿泊寮を辞めようとしたとき、施設長から3日間説教された。『施設をやめるのは逃げだ』『働かざる者食うべからず』と非難された。私はただじっと耐えて聞いていた。以来、ずっと生きることに負い目を感じてきた。どんな人にも誇りを持てる出番と安心できる居場所がある。そんな平和な明日を築くため、ともに学び、ともに歩んでいきましょう」

 どんなに立派な肩書のある人の挨拶よりも、心に響くものだった。

講師を務めた当事者3名
三者三様の引きこもりからの脱却

 最初に授業を行った講師は、「ひきこもり当事者の社会参加を考える学科」の40歳代男性のAさん。

 「親の誘いで家族会に参加するようになりました。それまで何とかしなければとずっと思っていました。家族会には、当事者会が併設されていて、所属先や肩書を気にしないで家族以外の人たちと接することができる。就労していなくても、少しずつ横につながっていく先を行く当事者たちを見て、自分にも何かできるのではと考えることができました。不安、焦燥、行き詰まり感が軽減できたんです。他の当事者会の様子も知りたくなり、NPO活動に参加しました。いまは道内各地の地域支援活動に携わり、地域に埋もれる本人や家族を見つけて、情報提供できることに意義を感じています」

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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