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地方に埋もれたうまい食材を発掘し
築地市場に乗り込んだ風雲児
食文化社長 萩原章史

週刊ダイヤモンド編集部
【第106回】 2010年3月16日
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萩原章史
食文化社長 萩原章史(撮影:宇佐見利明)

 「短角牛」という和牛をご存知だろうか。一般に和牛といえば黒毛和牛を指し、肉汁したたる霜降り肉を思い浮かべる人が多いだろう。だが、短角牛の肉は赤身で肉本来が持つ濃厚なうまみに溢れ、病みつきになる人が後を絶たない。赤ワインによく合い、脂身が少ないため年配者でも食べやすい。

 霜降り信仰の強い日本では、短角牛を育てる牧場主は少なくその存在はあまり知られていない。ところが、この希少な短角牛を月に2頭、瞬く間に売りさばくネット通販がある。それが萩原章史社長率いる食文化だ。

 萩原は、「万人に受ける食材ではなく、100人のうち3人がモーレツに食べたくなるうまいものを売る」と言い切る。

 そのこだわりは食文化の顧客層に表れている。地方の隠れた特産品を扱う「うまいもんドットコム」と、築地市場の食材を扱う「築地市場ドットコム」の2つのサイトの会員数は合計で約25万人いるが、そのうち7割が男性だ。また、残り3割の女性も会社経営者や医者、マスコミ関係者など“こだわり”志向が強い顧客が多い。

 これらの会員に向けて、萩原自らが書く食材紹介文を載せたメールマガジンが送られる。その内容の充実ぶりは他の通販サイトとひと味もふた味も違う。

 萩原が扱う食材は、自ら現地に赴き生産者に会い、調理し食したものだ。その実体験に基づいた紹介文は具体的で、かつ臨場感に溢れ、人びとを引きつけてやまない。この紹介文は数千字に及ぶこともあるが、萩原はそれを難なくこなす。発掘し、味わい、顧客に伝えることで、彼の喜びが完結するからだ。

ゼネコン勤務からネット通販に転身し地方の特産品を販売

 起業前は、食と関係のないゼネコンに勤め、本社にいた数年間の経理時代を除き、十数年を海外で過ごした。バブル景気のさなかは米国に駐在し、山のように不動産を買いまくった。このとき「山のように報告書を書かされた」。これが文章を書きなれている1つの理由だ。

 その後、バブルが崩壊し、勤務先のゼネコンは銀行管理となり、彼は起業の道を歩み出した。

 当初は建設関係の事業を考えたが、既得権益の壁に阻まれ断念した。方向を転換、大好きな食で勝負できないかと考えて始めたのが、冒頭のように、地方に埋もれた特産品をサイトやメルマガで紹介して販売する「うまいもんドットコム」だった。

わが社はこれで勝負!
普通の食材販売のサイトでは見当たらない珍しい特産品がところ狭しと並ぶ。また、サイズが合わずに規格外となった食材や、味や品質に影響はないが傷モノとなった「訳あり品」なども多数取り揃えられている

 他の有名サイトにも似たような食材販売の仕組みはある。だが、地方で特産品を作っている生産者には老夫婦が多いことに気づき、商品を紹介するサイトづくりを代行する一方で、出店料は格安に抑え、また売り上げに応じた手数料体系にすることで出店しやすくした。

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