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生活保護のリアル みわよしこ

生活保護の住宅扶助は、本当に高すぎるのか?
ケースワーカー実態調査も示す日本の「住」の貧困

――政策ウォッチ編・第87回

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【政策ウォッチ編・第87回】 2014年11月28日
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2014年11月18日、社保審・第二十回生活保護基準部会が開催された。冬季加算に関する議論を前回紹介したのに引き続き、今回は住宅扶助に関する議論を紹介する。12月にも議論の取りまとめを行い、結果を2015年度予算編成に反映すると見られている基準部会は、現在、「取りまとめ」に向かうことが可能なデータや確かな根拠を手にしているのだろうか?

住宅扶助に関して
どのような議論が行われているのか?

 2014年11月18日に開催された社保審・第二十回生活保護基準部会(以下、基準部会)において、生活保護基準のうち住宅扶助と冬季加算に関する議論が行われた。

前回紹介した冬季加算に関する議論に際して、厚労省の事務局が作成した資料には、

 「現在の冬季加算額は、冬季の実際の消費増加より3000円高い」

 と読み取ることの可能な内容が含まれており、一部マスメディアによる「冬季加算は引き下げとなる見通しが高い」という報道の根拠となっている。この資料を元に行われた議論については、前回の内容をご参照いただきたい。

 今回は、住宅扶助に関する議論を紹介するが、その前に、基準部会の経緯について簡単に説明しておきたい。

 基準部会は、5年に1回の生活保護基準見直しのたびに設置されることになっていた。この「生活保護基準」は、物価等の変動を考慮したうえで毎年発表される最低生活費の算定基準とはなるけれども、最低生活費そのものではない。

 本連載で議論を紹介している基準部会は、2012年の生活保護基準見直しに先立ち、2011年4月から設置されている。このとき、「5年に1回」の臨時部会ではない常設の部会として設置され、現在に至っている。

 当初、基準部会で議論されていた内容の中心は、生活扶助であった。基準部会は2013年1月、生活扶助を中心として検討結果を取りまとめた。厚労省がその数日後に発表した生活扶助引き下げ方針(資料「生活保護制度の見直しについて」)は、基準部会での議論と報告書を根拠の一部としていることになっている。この厚労省方針により、2013年8月・2014年4月・2015年4月(予定)の3段階で、生活扶助の引き下げが執行されている。

 約9ヵ月の空白の後、基準部会は2013年10年より再開されて現在に至っている。議論の中心となっているのは、住宅扶助と冬季加算の見直し(ほぼ引き下げ)である。5月末までの議論を踏まえ、部会内に作業班が設置され、生活保護の「住」の実態調査が行われ、さらに集計も行われつつある(第十九回基準部会資料 13ページ~39ページに速報あり)。実態調査にあたったのは、福祉事務所に勤務するケースワーカーたちである。10月に開催された第十九回基準部会・11月に開催された第二十回基準部会では、住宅扶助については、この調査結果に関する議論が中心となっている。

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


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急増する生活保護費の不正受給が社会問題化する昨今。「生活保護」制度自体の見直しまでもが取りざたされはじめている。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を知ってもらうことを目的とし、制度そのものの解説とともに、生活保護受給者たちなどを取材。「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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