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山崎元のマネー経済の歩き方

運用商品の選択は本来単純だ

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第24回】 2008年3月18日
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 個人の金融資産の運用では、株式に何割投資するかといった「資産配分」はある程度パターン化されているが、具体的な運用商品は多くの選択肢があるというイメージがある。現実に、わが国の個人に販売されている運用商品は主なものだけで数千、場合によっては1万を超える数があるだろうし、他方、ボーナス時期などの新聞・雑誌のマネー運用特集を見ると、パターン化された「お薦め」の資産配分計画がよく載っている。マネー運用に関するテキストや解説書も、冒頭で運用の一般論と資産配分のパターンを簡単に述べて、その後に個別の運用商品(株式、債券、投資信託など)に大きくページを割く構成のものが多い。

 しかし、現実的には、資産配分は多様だが、選択対象になる運用商品はごく少ないのではないか。

 個人の場合、かなり多額(ざっと10億円以上)の運用資産がないと外国債券部分で有効な分散投資を行なうことが難しい。信用リスクの分析が難しいことや、売り買い共に市場価格と証券会社が提示する価格とのあいだにかなりの差ができること(つまり中抜きされる)も障害になる。個人の場合、為替ヘッジのオペレーションは面倒だろうから、外国株式でも為替リスクを取ることを考えると、資産分類として外国債券を組み入れるメリットは乏しい。加えて、外国為替の手数料が大きいこと(特にドル以外の通貨で)も考えれば、外貨預金も対象になりにくい。

 金をはじめとする商品の現物・先物や商品ファンド、FX(外国為替証拠金取引)などは、相場に参加する投機としての面白味はあるが、基本的にゼロサムゲームのリスクを取るので、運用資産の一部として長期的に組み入れる対象にはなりにくい。REIT(不動産投資信託)も不動産価格がもっと下落し、人気が離散するまでリスクの割にリターンが小さかろう。

 結局、リスク資産としての投資対象は国内株と外国株だろう。外国株は、通常の投資信託の手数料があまりに高く、これまで個人に適する具体的な運用商品がなかったが、近年、海外の株価指数に連動するETF(上場投資信託)が買いやすくなったので有力な投資対象になった。ETFは信託報酬と呼ばれる運用管理手数料が安い。一方、外国株に投資する一般の投資信託には出番がない。

 国内株は、TOPIX(東証株価指数)に連動するETFで信託報酬が安くて取引量があるものを買えばいいし(候補は1~2本だ)、外国株についても、年金基金などが使うベンチマークで、日本株を除く先進国22ヵ国の株価を指数化した「MSCI―KOKUSAI」に投資するETF(信託報酬は0.25%)ができた。両者の配分が問題だが、期待リターンを同じとして、いちばんリスクが小さくなる組み合わせを計算したら、たとえば国内株と外国株を4:6くらいで組み合わせるといいことがわかった(使うデータによって結果は少々変わる)。

 リスク資産と安全資産の組み合わせ比率は、個々の家計事情でさまざまだが、リスク資産部分の内訳は優劣が明確だ。個別株投資などに特別のアイディアがなければ、「よいファンド」を事前に選べない以上、おおまかには2つのETFの組み合わせで十分だろう。プロでもこれを確実に上回るのは難しい。おカネに色は付いていないから、リスク当たりのリターンが最も高いと思う組み合わせが1つあれば、それを使えばいい。

 もちろん、手数料が高いアクティブ・ファンドには、投資するに足る合理的理由がない。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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