テレビの2時間ドラマで登場するシーン。葬儀のあと、親族が集まっているところに弁護士がやってきて、「亡くなった○○さんは遺言書を残していて、私に遺言執行を依頼されていました」と遺言書を見せるというもの。そうしたシーンをよく見かけますよね。

さて、弁護士はどのように相続に関わるのでしょうか。上記のように、遺言執行をしたり、財産目録の作成をしたり、認知症などで相続人の意思能力が低下したときにもお願いします。気を付けなければいけないのが、相続人がもめてしまって、遺産分割協議ができないとき。今回紹介する事例では、どのような結末が待っていたのでしょうか。

一度頼むと当事者同士で話ができなくなる

 それでも相続の場面では、話し合いがうまくいかないのはよくあることです。きょうだいだからこそ、それぞれの主張が対立して互いに譲れず、感情的になってしまうのでしょう。相続人の誰かが一方的な主張をしたり、高圧的だったり、ささいなことで激高したり、話し合いにならないこともよくあります。

 こうなると第三者を入れて解決しなければと、弁護士に頼る道を選択します。一方が弁護士を頼んだとします。弁護士は依頼者の味方になるので、他の相続人には有利に働きません。そうなると、もう一方の相続人も、別の弁護士に依頼して代理人になってもらいます。両方とも弁護士が代理人になるというわけです。

 もめてしまうと、冷静な話し合いにならないため、相続人同士で話し合ったり、会ったりすることがストレスになります。だから、第三者が間に入ってくれただけでほっとしたという声を聞きます。

 しかし、弁護士に依頼をしてしまうと、弁護士から「すべて私を通して進めるので、他の相続人とは直接話をしないように」と言われます。そうなると、きょうだいで話し合う機会はなくなり、ますます対立していくのです。こうしたことがきっかけで、たとえ仲のよかったきょうだいでも絶縁状態になるのです。